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私のやんごとなき王子様 風名編

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「そ、洞窟って言っても短いトンネルくらいなんだけど、そこを抜けると小さいプールみたいに水が満ちててさ、ぽっかり天井に穴が空いてるんだ」
「へえ……」
「そこから空を見上げると、すごく不思議な気持ちになるんだけど、一緒に見に行こうよ」
「えっ、私と?」

 目を丸くさせる私に、風名君が笑った。

「当たり前だろ? 俺の隣りに今いるのは小日向なんだから」
「あ、そ、そっか」

 そうだけど、まさか誘われるなんて思ってなかったんだもん!
 きっと恥ずかしさでちょっぴり赤いだろう顔を、空いてる方の手で押さえつけ、嬉しくて返事をしようと息を吸い込んだ。その途端、

「玲君」

 今ここにいるはずのない人物の声が背後から聞こえて来て、私達は同時に振り向いた。