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私のやんごとなき王子様 風名編

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 さすがプライベートビーチ。私達以外には誰もいない! なんて気持ちがいいんだろう!

「う〜〜〜〜ん、気持ちいい!」

 昨日の体調不良が嘘みたいに、気分爽快だ。

 水着は新調出来なかったから去年と同じものだけど、気に入ってるから良しとしよう。
 辺りを見回すと、皆それぞれビーチバレーを楽しんだり、海に入って泳いだり思い思いに楽しみ始めている。
 あ、潤君だ。ふふ、楽しそうだな。
 向こうの方でこちらに向かって手を振る潤君の姿を見つけて手を振り返し、思わず笑みがこぼれる。

「小日向」

 さて私はどうしようかと悩んでいると、後ろから声をかけられた。

「あっ、風名君……」

 私は一瞬風名君の姿に言葉を失った。
 だって水着姿の風名君は上半身が露になっていて、間近で見るその裸はとても均整の取れた筋肉がついていたから。
 ど、どうしよう。直視出来ないよ……。

「やっぱり夏と言えば海だよな」
「あ、そ、そうだね」

 そこでふと私の顔を見つめると、風名君が尋ねて来た。

「小日向、今日は随分顔色いいけど、本当に大丈夫か?」

 昨日具合悪かったから、心配してくれてるんだ。あれは私の精神的な問題だし、もう平気なのに。

「大丈夫だよ。昨日は本当にごめんね」
「どうして小日向が謝るんだよ?」
「だって、私いつも風名君に助けてもらってばっかりで……」

 そう、いつも風名君やさなぎは私を励ましてくれるのに、私は何にも出来ない。さなぎは私と一緒に笑ったりしてるのが楽しいって言ってくれるけど、風名君の前だとなんだかちっぽけな自分が嫌になる。
 でもやっぱり笑顔でいれば風名君も心配しないもんね、そうよ、笑顔よ笑顔!
 私はまた落ち込み始めた自分自身を奮い立たせ、顔を上げて笑った。

「迷惑かけっぱなしで申し訳ないなあって思うけど、風名君や亜里沙様や皆が優しくしてくれるから私嬉しいんだ」
「迷惑だなんて思ってないよ。小日向はいつも一生懸命やってるよ」
「そっかな……? ありがと」

 少し照れて頭を下げると、風名君が遠くを指差した。

「小日向、去年見つけたんだけどさ、あっちの岩場の向こうに洞窟があるんだ」
「え? あ、あそこ?」

 俯いていた顔を上げ風名君が指差す先を見た。