私のやんごとなき王子様 風名編
「ん……風名君、あの、色々とありがとう……それと、ごめんね」
ごめんにはたくさんの意味が含めてあるんだけど、きっと風名君は分からないよね。ちゃんと謝らなきゃ。でも、きっと風名君は私が謝っても笑って「小日向が謝る事ないよ」って言うんだ。
だって風名君は……皆のアイドルで、皆に優しいから。
「気にするなよ。ゆっくり休んで、明日からまた頑張ろうぜ」
こくんと頷いた。本当はもう演じる事なんて楽しく出来ないかもしれないって思ってるけど、だけど今から逃げ出すなんて出来ないもん。
昨日頑張るって言ったのに、私は本当に意志が弱い。ていうか、フラフラし過ぎなんだよな。
ちょっとした事に心を揺らされて、自分で自分を傷付けてる。
作品名:私のやんごとなき王子様 風名編 作家名:有馬音文