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私のやんごとなき王子様 風名編

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 まだ心配そうな風名君と別れ、私はさなぎによってベッドへ投げ出された。

「……痛い」

 ベッドに顔から倒れ、それでも体を動かす気力もなかった私は取りあえず大きなため息と一緒に顔をしかめた。

「美羽〜。何かあったの?」

 さなぎの言葉が胸に刺さる。私はゆっくりと体を仰向けにすると、天井を見つめて心の中に溜めた思いを吐き出した。

「なんかさ、違うんだよね」
「何が?」
「風名君や亜里沙様のコト」
「はあ? どういう意味?」

 チラリとさなぎを見ると、椅子に座って訝しそうに私を見下ろしていた。

「最初から分かってた事だよ。本当に分かってたの……。住む世界が違うって」
「……」

 黙ったままさなぎは私の話に耳を傾けてくれている。

「なのに……バカだよね、私。風名君がすごく優しいから、少しだけ近づけた気がして。亜里沙様も私なんかの事まで気遣ってくれるから、ひょっとしたら上手く――出演者として頑張れるかもって思ってた。でも」

 私は一つ大きく息を吐いた。

「でも違うの。当然だけど全然違う! さっきたくさんの人が取材に来たけど、私は――」

 もう言葉が出なかった。代わりに涙がボロボロと瞳から零れ落ちていく。

「美羽……」

 さなぎが悲しそうな顔でこっちを見ている。さなぎにまでこんな思いさせて、私は本当に何がしたいんだろう。

「美羽、私達はさ……そりゃ違うよ。芸能人でも無ければ良家の令嬢でもないし。なんてったって電車で現地集合だし?」

 そう言って少しだけおどけた表情を作るさなぎ。

「でもさ、そんな私達を――美羽を風名君は駅まで迎えに来てくれたじゃん。亜里沙様だってそうだよ。とりまきはともかく、亜里沙様はうちらにも優しいじゃん?」
「うん……」

 さなぎは私の顔を見つめると、にっこりと笑った。

「それってさ、きっと同じ学校に通う、同じ生徒だと思ってるからだと思う。芸能人だとかオジョーとか関係なくてさ、大切な――友達だって思ってくれてるんじゃないかな?」

 友達……?

「風名君や亜里沙様はいっつも今日来た取材の人達みたいな大人達に囲まれてるワケじゃない? だから、純粋に嬉しいんだと思うけどな。美羽が『普通』に接してくれる事が」