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ツカノアラシ@万恒河沙
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青髭の塔

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私は毎日受信機で貴方のお顔を拝見しています。受信機から流れる貴方の低いお声を聞くたびに私の胸は、どきどきとトランペットのファンファーレのように高鳴ります。ああ、くらくらと幸福のあまりに眩暈すらします。隠しカメラ越しに見える貴方の目はとても優しくて、毎日無言で私への愛を囁いて囚われの私を勇気付け、慰めてくれましたね。なのに、何故、貴方はまだ私を攫いに来てはくれないのでしょうか。

私は、平凡を絵に描いたような男である。私は思い余って、友人の知り合いの警察官である神田川と言う人物に相談をすることにした。神田川は、私の話を聞くと本当に不本意そうに、私にある『少女探偵』を紹介してくれた。そして私は、神田川の書いた地図を頼りに『異人館』と言う名前のビルアパートに訪れて、『少女探偵』に今までの経緯を説明したのだった。黒髪に大輪の白い牡丹の花簪を差し、銀糸で蜘蛛の巣の刺繍がされた黒い半だら帯を締め白い綸子の裾長の大振袖を着た『少女探偵』は、黒い背広を着た助手も兼ねた執事だと言う若い男と一緒に私の話を笑いもせずにじっくりと聞いてくれたのはとても有難かった。ただ、私の話を聞いている間、『少女探偵』は大きな瞳をキラキラさせ半開きにした扇子で口元を隠して、とても楽しそうだったのは何故だろうか。そして、話を聞き終わった『少女探偵』は、その綺麗な顔ににっこりと花が綻ぶかのような笑顔を浮かべると、私に向かって、暫く執事と一緒に私の部屋に住んでよろしいですかと尋ねてきたのだった。

お待ちしてます、貴方。いつになったら、ここに来て下さるのですか。いつになったら、私の耳元で愛を歌い、憎き青髭を殺してくれるのですか。早く来てください。早く、私を青髭から奪うのです。ああ、お待ちしてます、貴方。今度こそ、私を裏切らずに、ここに私を迎えに来てくださいませ。