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司令官は名古屋嬢 第2話 『大晦日の群像劇』

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第10章 最悪の展開



 ……ここまでは良かった。だが、上社の降下位置が悪かったようだ……。

「上社!!! もっと右に寄れ!!!」
「なっくん!!! あぶないから避けて!!!」
「そのまま串刺しになっちゃえ!!!」
山口たちは、次々に降下してくる上社に叫びまくる。だが、必死の誘導も空しく、

   バリバリッ!!!

ある大事なものにパラシュートが引っかかる形で止まった……。それは、あの大事な異次元アンテナであった……。重みのせいで、アンテナはどんどん曲がっていく……。もはや交換が必須であった……。

 当然だが、その場が凍る……。黙り込む一同……。

 しばらくしてどこかからか、夕方5時を告げるチャイムの音が鳴り響いてきた。気がつけば、もう夕方になっていた……。

「あっ! そろそろ、あったさん(熱田神宮)の警備の指揮を取りに行かないと!」
突然、大須がわざとらしくそう言いだした。
「そ、そうですね、初詣客が来ますし! 私も同行します!」
守山もそう言った。
 そのまま、彼女たちはプリウスに向かおうとしたが、山口がそうはさせなかった。
「その前に、早く上社をどかしてアンテナを直せ!!! 今・す・ぐ・に・だ!!!」
山口は殺気に満ちた表情で言い切った……。



 ……結局、上社の救出とアンテナの修理は、年明けの翌朝までかかった。大須たちは徹夜でクタクタになり、テレビ塔の展望フロアにあるソファで眠り始めた。上社は、もう2度と戦闘機には乗りたくないと、寝言でも文句を言っていた……。
 一方、山口はというと、直ったばかりの異次元アンテナを通じてで、意気揚々と(彼は作業が終わるまで、ソファで堂々と寝ていた……。)、幻想共和国にいるスポンサーのお嬢様や、大日本帝国連邦陸軍の女性司令官などに、新年の挨拶と昨日の「珍事」の話などをしていた……。