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司令官は名古屋嬢 第2話 『大晦日の群像劇』

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第7章 悪魔「そこに塔があるから」



   ドウン!!!

 辺り一面に鈍い銃声が響いたかと思うと、悪魔の糸に一発の青く光り輝く銃弾が見事命中した。そして、守山と大須を引っ張っている糸はプチンと切れ、守山と大須は歩けるようになった。
 一体何ごとかと悪魔は、残っている糸を吸い取りながら、銃弾が飛んできた方向をギロリとにらんだ。だが、大須たちには誰が撃ったのかはわかっていた。
 その誰かは、公園の樹木の影からゆっくりと大きなライフル銃を手に現れた。悪魔は、それが誰なのかがわかると、うめき声を上げ、なぜか、その場からテレビ塔の方へ急いで移動し始めた。一方、大須たちはその人物に苦笑いや作り笑いの表情を向けていた。

「オイオイ、こんなんでよく今まで、この中京都を守ってこれたな!!!」

その人物は山口だった……。手に持っているライフルの弾倉は、青く光り輝いていた。
「少し油断しただけです!!!」
守山は悔しそうに山口をにらみながら言った。
「あんな大きな悪魔は初めてです! それに、私たちの攻撃が全然効いていないようです!」
大須は、ズボンのポケットから取り出した小型ナイフで、守山の体を巻きつけている糸を切ってやりながら山口に言った。
「当たり前だ!!! あの悪魔はあのデモナータっいう世界産の悪魔だからな!!!」
「……なるほど、デモナータの悪魔ですか。それじゃあ、魔術を使える人がいなきゃ詰むじゃないですか!?」
大須が問い質す。
「そうだよ」
山口は平然とした口調で答えた……。まるで他人事のようだ……。
「そうだよって、山口さんがいないときはどうすればいいんですか!?」
「だからオレは何度も、異次元中から調達してきた魔術書を読んで訓練しておけと言っていただろうが!」
「もちろん読んで訓練をしましたよ! だけど、魔力を注入することもまだできないんですよ!」
「魔力の注入もできないって、おまえ……」
大須と山口による、さらに熱い口論が始まろうとしていたが、

「あの〜」

そこで誰かの声が割り込んだ。大須と山口がキッと振り向くと、1人の兵士が、テレビ塔の方を指さして立っていた。
「何?」
大須が兵士に言った。
「あの悪魔、テレビ塔を登り始めたんですけど……」
兵士が指さす方向を見ると、確かにあのクモのような巨大な悪魔が、公園の中にあるテレビ塔を登っているのが見えた。
「……ヤバい!!!」
山口はそう叫ぶと、テレビ塔の方に向かって走り出した。
「あっそうか!」
そう言うと大須も山口に続いて走り出した。その大須の後ろを守山が、頭に?マークを浮かべながらついてきた。兵士たちも、?マークを頭に浮かべながらついてくる。