司令官は名古屋嬢 第2話 『大晦日の群像劇』
太い糸による攻撃を外してしまったことに、悪魔は糸を口の中へ巻き戻しながら、不機嫌そうに鳴いた。そして、悪魔は少し考えた後、いきなりその場で、大鬼のような太い大きな足で地面を踏み鳴らし始めた……。
最初、大須たちはその悪魔の行動が理解できなかったが、すぐに身をもって理解することができた……。
グラグラグラグラ……!!!
悪魔は、地面を激しく振動させ始めたのだ……。その激しい振動に、大須たちは自由に動くことができずによろめく。その大須たちの姿を見て悪魔は、ニヤリと目を細めた。そして、さらに激しく振動させ始めた。
「きゃっ!」
小さい声を上げて誰かが地面に尻もちをついた。尻もちをついたのは守山で、露骨なサービスシーンレベルのパンチラを、その場にいた全員に披露していた……。
「きゃっ!」
再び小さい声を上げ、守山はミニスカートを手で押さえる……。
そこでようやく振動が止まる。悪魔は、再び糸を吐こうと構えていた。それに気づいた大須は、すぐ尻もちをついたままの守山に、
「さーちゃん!!! 避けて!!!」
大声でそう叫び、立ち上がらせようと守山の元へ駆け寄る。
シューーー!!!
だが間に合わず、再び吐き出された糸に、守山の体は巻きつけられてしまった。しかし、大須はあきらめることなく、守山の体をしっかりと掴む。悪魔に食べられないようにするためだ。
「ナナねぇ、逃げて!!!」
「かわいい部下を置いて逃げられるわけがないでしょ!!!」
……というありきたりな会話をしていた。
しかし、悪魔は、まるで自動車免許の○×式の筆記試験を解くかのごとく、楽々と守山を引っ張っていった。糸の粘着性のせいで、大須もいっしょに引っ張られていく。悪魔のほうも余裕があるらしく、先ほどとは全然違うゆっくりなスピードで、悠長に糸を引っ張っていく……。
そして、2人の体は地面から離れ、悪魔の口へと浮かび上がろうとした……。
作品名:司令官は名古屋嬢 第2話 『大晦日の群像劇』 作家名:やまさん