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司令官は名古屋嬢 第2話 『大晦日の群像劇』

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 大須と守山は、一番聞こえてくる大きい銃声が聞こえてくる出入口から、地上へ出る。そこは、テレビ塔がある久屋大通り公園『セントラルパーク』の中だった。あちこちにガレキや横転した車があり、死体も既にいくつか転がっている……。サイレンが鳴り響いており、ビルに音が反射して、あちこちの方向から聞こえてくる。
 すぐ近くには、10人ほどの中京都軍の兵士たちがおり、テレビ塔の方に向けて、自動小銃などを撃ちまくっていた。大須たちは、兵士たちが必死に撃っているほうを見る。

 1体の巨大な悪魔が、堂々と仁王立ちしていた……。その悪魔は、日本昔話によく登場しそうな赤い大鬼とタランチュラが合体したような悪魔で、合計12本の毛だらけの手足をもっていた……。

「あの悪魔は何!?」
大須が一番近くにいた兵士に聞いた。
「突然電撃音がしたと思ったら、この公園に出てきたんです!!! そしてすぐに暴れ始めました!!! 死者も出ています!!!」
その兵士は、必死の形相で悪魔を撃ちながら答えた。
「できるだけ目を狙いなさい!!!」
大須はそう言うと、腰のホルスターから拳銃を抜き、悪魔の顔めがけて撃ち始めた。守山も脇のホルスターから拳銃を抜き、撃ち始めた。
 その悪魔には無数の銃弾が直撃し続けていたが、あまりダメージを与えられていないようだ。もちろん悪魔も反撃してくる。たくさんの目がある顔のクモのような口の中から大きさに比例した太い糸を兵士たちに向かって吐いた。その糸はかなりの速さだった。
 即座に兵士たちはその太い糸をよけたが、一人の少女の兵士がよけきれず、糸を体に巻きつけられた。
「キャ〜!!!」
その少女兵が叫ぶ。助けようと周りの兵士たちが駆け寄る。
 ……しかし、兵士たちが糸を巻きつけられた少女兵に触れる寸前に、悪魔の口から出ている糸は悪魔の口へ猛スピードで吸い取られ、少女兵は悪魔の口へ一直線にぶっ飛んでいった……。そして、あっという間に悪魔の口に収まった。悪魔の口の中にかすかに少女兵の姿がまだ見えた。
「た…たすけ」
言い終わる前に少女兵は、悪魔の口の中でプチンと噛み潰された。幸い、口の中だったため、大須たちはグロテスクなシーンを見ずにすんだ……。だが、大須たちはそのわずかな間の恐ろしい出来事に身震いし、攻撃するのををやめてしまった。中にはこの場から逃げようと後ずさりしている兵士もいた。
 悪魔は口の中の「物」を軽く飲み込むと、口から赤色のツバをサッカー選手のように吐いた。地面を濡らした赤いツバの水たまりからは、湯気が上がっていた。それから、攻撃するのをやめてしまった大須たちを見て、歓喜に満ちた鳴き声を口から発した。そしてすぐさま、再び口から太い糸を吐く。
「ウワーーー!!!」
「キャーーー!!!」
兵士たちはもちろん、大須と守山までもが大声を上げて逃げ出した。なんとか全員がうまくよけられ、悪魔の太い糸は地面へと外れてくれた。