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瞳 ~あなただけを見つめる~

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 ぎゅうううっ、としがみついてくる大塚を抱き返す。オレの胸の中で泣くオレの好きな子。ゆっくり頭を撫でてやる。
 恋を知ったら失恋でした。……つらいよな。
 ヒロちゃん、ヒロちゃんヒロちゃん、ヒロちゃん。呼ぶのはオレじゃなくて、好きな幼馴染。
「……甘い期待、してた……っ」
「……どんな?」
「もしかしたら私の、気を、引くために、茜と付き合ったんじゃ、ないか、って……!」
「……好きなら、しょうがないさ」
 人は自分のいいように解釈したがるもの。
 それから大塚はわあわあ泣いて、駅ビル内を歩く客たちがこっちを見るからちょっとトイレ側に寄った。
 誰もいない。シチュエーション的には微妙だけど(トイレ前だし)、オレはぎゅっと肩を抱く腕に力を込めた。
「なあ大塚」
「……ひっぐ、なに……」
「――オレのこと、好きになれよ」
 幸せにしてやるから。
 でもまた泣き出すんだ。無理だよぅとか弱い声で断るんだ。
 残酷だね、恋は。