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私のやんごとなき王子様

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「そうなの? 凄いじゃない! おめでとう!」

 私は思わず手を叩いて喜んだ。
 だってあの風名君の従者役なんて、望んでも出来るものじゃない。さすがは次期王子様といったところか。今度の演劇祭で潤君自身も、各メディアから相当な注目を浴びる事だろう。

「ありがとうございます!」

 私の素直な喜びに、潤君もまた心から嬉しそうに笑った。

「え……っと、それで」

 そうかと思うと、またも言いよどむ潤君。一体どうしたっていうのだろう?

「うん、なあに?」

 私が優しく声をかけると、意を決したように潤君は私を真っ直ぐ射抜くように見つめてこう言った。

「小日向先輩も、舞台に立ちませんか?!」
「へ?」

 思わず間抜けな声が出た。
 だって。私が? 舞台に? 風名君や潤君や亜里沙様と並んで?
 あり得ないあり得ない……想像しただけで恐ろしくて、思わず私は身震いした。

「小日向先輩は、きっと舞台の上でこそ輝くと思うんです! それはもう絶対!」

 きっとなのか絶対なのか、どっちなのよ……と心の中で突っ込みつつも、この展開に脳みそが追いつかない。

「えー……っと、私は……」
「僕、練習日に会えるのを待ってますから!」

 言いたいことだけ言うと、潤君は照れ臭そうにはにかみながら、校舎の中へと消えて行った。
 舞台……って言われても、困るわよーーーーーーっ!
 私は心の中で絶叫し、しばらく呆然と立ち尽くしていた。