私のやんごとなき王子様
「なっ、なにを急に言い出すのよっ」
「あは〜、照れてる〜」
私をからかいながら、いちご大福をほおばるさなぎ。
「私もいつかは私だけの王子様にアタックされたいな〜。今はまださなぎな私だけど、王子様に告白されたら、キレーな蝶になるの〜みたいな?」
おどけるさなぎを見て、私は思わずプッと吹き出した。その私を見てさなぎも笑う。
「あはは。そうそう、美羽は笑ってるのが一番だよ! 色々悩むと思うけど、美羽ならきっと――大丈夫」
「……ありがと、さなぎ」
さなぎに励まされて、何だか少し心が軽くなった。
そうだよね、私にはこんな風に支えてくれる友達だっているし、みんなに誘って貰えた事自体はとっても有難くて、それに嬉しい。
締め切りは明後日――――。
残された時間は多いわけではないけれど、少ないわけでもない。
もう一度良く考えて、そして結論を出そう。
そして絶対成功させるんだ。高校生活最後の演劇祭を――――
作品名:私のやんごとなき王子様 作家名:有馬音文