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私のやんごとなき王子様

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「えーーーーーーーーっ!?」

 私の話を聞いたさなぎが大きな声を上げた。

「ちょっと! さなぎってば、みんな見てる!」

 さなぎが日直の仕事を終えた後、約束通り私とさなぎはお茶屋さんに来ていた。
 ここの緑茶と大福は格別に美味しいので、いつも大勢のお客さんで賑わっている。
 当然、今もほかのお客さんたちがいて、急に素っ頓狂な声を上げた女子高生に何事かと視線を浴びせていた。

「あっと……ごめん」

 それに気付いたさなぎが、恥ずかしそうに乗り出していた身を、また椅子に戻した。

「でもでもでも、どーいう事なのよ、それ!」

 私が話した今日の出来事に、さなぎは目をまん丸にして心底驚いている。
 そりゃそうだよね。私だって驚いてるんだから。

「だから……潤君と土屋君と風名君と三島君と……さっきは利根君に誘われたの。演劇祭の手伝いを自分と一緒にして欲しいって」
「はーっ。私が利根君の高感度上げようと思ってした事が、まんまと裏目にでた〜〜。恨むわよっ、美羽!」
「えぇ?!」
「あははっ、じょーだんだってば」

 さなぎは嬉しそうに笑っている。

「でもショックゥ。私、ひそかに利根君のファンだったんだぁ。綺麗で優しくて物腰が優雅で、いいよねぇ。ああいう女の子になりたかったなぁ〜」
「なにそれ?」

 私も思わず笑ってしまう。

「だってさ、私なんかよりよっぽど素敵なんだもん!」
「あははっ」

 二人で思わず声をあげて笑ってしまう。でも、さなぎのその気持ちは分かる。
 利根君は、なんか女の子から見ても『憧れ』る部分がたくさんある。本当に素敵な男の子だと思う。

「それに潤君と風名君! 次期王子様と現王子様! はぁ〜っ、モテますなぁ〜! で、さらに‘あの’土屋君に生徒会長まで……って本当にどうなってんの?」
「……分かんないよ」

 本当に分からなかった。私はただ戸惑うばかりだったから。

「ただでさえ決めれて無かったのに、余計に悩むよね〜」
「うん……」

 ああもう、本当にどうしたらいいの?

「でもさ……、私は美羽なら何でも出来ると思う」
「え?」
「美羽って頭もいいし、手先も器用だし。それに亜里沙様ほどではないけど、可愛いもん」