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私のやんごとなき王子様

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 あんまり美しい顔で微笑むものだから、私は急いで利根君から顔を逸らした。
 う、うん、とりあえず落ち着こう。
 そして引き出しを開けてプレパラートをそっと立てる。

「俺が小日向さんと一緒がいいって思ったから、誘いに来たんだ……あ、もちろん無理にとは言わないから。でも、一応考えておいてくれると嬉しいな……それじゃあね」
「あっ! えっと、その――て、手伝ってくれてありがとう!」

 軽いパニックだったけど、かろうじてお礼を言う事は出来た。
 ドアを開けて出て行く利根君は一度こちらを向いて、すごくすごく綺麗な微笑を残して去って行った。残された私は、まだ激しく鼓動する心臓を両手で押さえ、ゆっくりと深呼吸をした。


 信じられない。
 利根君とは去年文化委員で一緒だった。クラスは違ったけど、仕事で組む事が結構あったし、話した事ももちろんあった。だから全然知らないって訳じゃなかったけど……でも、これってもしかして……利根君って私の事、ちょっとは気に入ってくれてるって事、なのかなぁ。

「はあ……」
「ごめ〜ん! 遅くなっちゃった! 真壁先生ったら鬼頭先生の愚痴語り出すんだもん、もう知らないっての! あれ、美羽?」

 私が漸く普段の鼓動を取り戻し始めた頃、さなぎが戻ってきた。

「もう全部終わったよ! 帰りに大福おごってよね!?」
「あちゃ〜。ごめんごめん。大福といちご大福おごるから機嫌治して?」

 私の様子に怒っていると勘違いしたらしいさなぎが申し訳なさそうに言った。
 まあ、確かにさっきまでちょっと拗ねてたけど、今はそれどころじゃない。
 まさか、利根君にまで誘われるなんて、一体どうなってるの!?