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私のやんごとなき王子様

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 微笑む利根君からなんだかすごくいい匂いがした。化学薬品なんかじゃない、清々しくて凛とした匂い。
 もしかしてお香かな?
 なんて鼻をくんくんさせていると、利根君が優しい声で尋ねてきた。

「小日向さんは演劇祭の手伝い、何をするか決めたの?」
「ううん、全然決まらなくって……」
「やりたい事はないの?」

 いつの間にか私が持っていたチェック用のノートも利根君が持ってて、数を書き込んでくれた。私はそんな利根君のさり気ない気遣いに感心しながら答える。