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私のやんごとなき王子様

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「ああ、そうなんだ。投票だとかで勝手に決まってて、今更出来ません。なんて言えないし」
「風名君ならきっと素敵な王子様を演じてくれるって、皆喜んでたよ」
「そうかな?」

 笑顔で私が言うと、風名君の顔が一瞬曇ったように見えた。

「――小日向は……」
「あっ! もうパンほとんど売り切れてる!」

 風名君が何か言おうとした事に気付かなかった私は、やっとたどり着いた購買の前でつい声を上げてしまった。
 少し時間がずれていたため生徒の数は少なかったけど、めぼしいパンはほとんど無くなっていたのだ。
 残っていた少ない中からなんとか昼食を確保し、風名君ファンの購買のおばちゃんにおまけのチョコレートをもらってその場を立ち去ってしばらくすると、 風名君が話し出した。