私の主張
お金をください?
僕は鼻唄を唄いながらざくざくとモヤシ炒めを炒めていた。
近所の激安スーパーで買った、一袋27円のモヤシだ。
最近僕はモヤシとキャベツを交互に食べ続けている。
モヤシ炒め、モヤシスープ、キャベツしゃぶしゃぶ、キャベツサラダ、モヤシとキャベツの煮物… 。
以外とバリエーション豊富なヘルシー食材。
何故こんなものばかり食べて鼻唄を唄っていられるのか。
…それは則ち明日が仕送りの日だからだ。
やっと解放!!
僕は床に落ちた雑誌を蹴り跳ばし左手に箸を握って、フライパンごと茶ぶ台に運んでいった。
そこら辺のチラシを鍋式にして今日のランチを食す。
「いただきまー…」
今まさに口にモヤシを運ぼうとした時、ムーミンの着メロが机の上で響きわたった。
ねぇムー…のところで素早く画面も見ずに電話に出る。
僕は早くモヤシが食べたかった。
「あ、春?」
声の主はよく聞き慣れたふてぶてしい話かた。
…母さんだ。
「なに?僕今からモヤシ食べるんだけど。」
母は深い溜め息をついた。
なんじゃらほい。
「なに?どした?」
「…春、あのさぁ…」
僕はそこでやっと母の様子が何やらおかしいことに気が付く。
もぐもぐとはきの悪い話かたはおよそ母らしくない。
「ん?もしかしてご病気…?」
「ばかっそんな縁起でもない…。…あのねぇ、…今月仕送り我慢してくれない?」
「…は?!無理だろっそれはさすがに…」
何だか妙に嫌な予感がする。
母は深い、ふかーい溜め息をもう一度ついた。
「…父さんね、クビになっちゃった。輸入食品の店。」
…
なっ…!!!!!!
「…この不況の真っ只中に仕事でオオボケかましちゃったらしくてさぁ。迷わずチョキンよ。…まぁ春にはお年玉貯金もあるし。母さんももっかいパート始めて頑張るからあんたも頑張って。じゃっ」
…つー、つー…
「…。」
…ない!ないよ!!貯金!!!!!!
そんなものとっくの昔に、アホな父親のために働く娘を助けるのに使いきったよ!!
…誰か僕もアホな父親から助けて!!!!
僕は携帯と箸を片手に「助けてくださーい!!!!!!」と叫んだ。