私の主張
お金をください?
爽やかな初夏の空気、そして女学生。
僕は今とても幸せだ。
蒸し暑い名古屋から逃げ去り無事静岡の某国立大学に合格、これから華の大学生活が僕を待っていた。
赤味噌も大須ういろも買い込んだし中京くんのぬいぐるみもちゃんと連れてきた。これでホームシックになる暇もないだろう。
ただひとつの問題は、僕の学部棟に着くのに長い長い坂を登った後さらなる山を登らなければならないということだけだった。
僕の学部は孤島で天空の城なのである。
僕は鶏肉をくわえながらも自然と微笑んでいた。
周りには清純そうな女子ばかりだ。
しかもこの大学の中で僕の学部が一番かわいこちゃんが多い!気がする。
これならばさすがの僕にも好きな女の子の一人や二人出来るだろう。
素敵なサークルにも入って素敵な女の子と出会ってサークル仲間と出かけた安部川の花火大会で二人だけ抜け出して冷やしきゅうりをかじりながら恋のアバンチュールに繰り出すのも可能な気がする。
僕は食堂で鼻唄を歌いながら妄想した。
一度も女経験なしで人生終了ってのは少しさみしすぎる。
「あのぅ…」
突然妄想がぱちんと弾けた。
目の前には妄想通りの素敵女子が立っていたからだ。
ふわりとした茶色の髪にくりっとした瞳にぷりっとした唇。これぞまさに女の子。
こんなかわいこちゃんが一体僕に何の用事が…?
「相席いいですかぁ?」
「っ」
いかん、やっぱり鳥肌が…。
それになんだこのこのしゃべり方は。
もっとぴしっと話せばいいのに…。「失礼ですが相席よろしいですか。」みたいな。
いや、こんな大学生いたら怖いな。…っていうかそんな話かたじゃまるで愛…あの子みたいだ。
僕は適度にかぶりをふって「どうぞ」と言った。
若干椅子を離しつつ…。
「えへ、ありがとう。みーんな席とられちゃったの。」
素敵女子はオムライスを食べ食べ微笑んだ。
僕は水を飲み込んだ。
「…ね、前田君っていうんだよね?」
「?」
「あ、ごめん…まえまえから気になってたの。素敵な人だなぁって。」
…
まじか?!?!?!
(きっ気付かぬうちに魅力溢れる男に成長してたのかな?!)
ドキドキと素敵女子を見つめる。
素敵女子はうふっと僕に笑いかける。
「ね、このあと講義とってる?」
「あ、いや…」
「なら一緒に帰ろっ」
…神様、これは…
いよいよ男女交際解禁なのでは…?!