私の主張
僕は美少女から目がはなせない。
―なぜ?
どうして今頃?
そう、僕の不幸は彼女から始まったのだ。
いや、勝手に動いたのは僕だ…。
でもやっぱり女は恐ろしい。
だって彼女を助けてからこんなに苦労してきてるのに…
目の前でにっこりとする彼女は、やっぱり可愛いかった。
白いまる襟のブラウスに花柄のふわっとしたスカートをはいて、白い歯を光らせにこっと笑っている。
髪の毛はふわっとハーフアップにしていた。
僕は呆然と青信号のポーズのまま立ち尽す。
「前田、こちらは夢ちゃん。そしてその奥が部長。お前のことは一方的に知られているからあえて説明はしない。」
鈴木はしれっと説明した。
夢ちゃんは「さっ早く入って!」とぼくらを急かす。
僕は変なポーズのままカクカクと部屋に入って行った。
…部屋の中は雑全としていた。
星座速見番が貼ってあるかと思えばスーパーのチラシと昔の煙草広告のジャン・レノのポスターが貼ってあったりする壁。
それから薬屋にある象のサトちゃんに最近よく街で見掛けるやたらモコモコの耳当てがつけられている。
そして何より一番浮いていたのは、ずらりと並んだ機械たちだった。
最新の3Dも見れるPCが3台に、無線のようなよくわからんものに、全くよくわからんものがごたごたと並んでいるのだ。
なんかスパイみたいだ。
夢ちゃんは髪を耳にかけ、そこらの荷物をずらし全員が座れるスペースを確保した。
ささっとそれは手際よく。
(しかし…)
…しかし、僕はさっきから何かを背中に感じていた。
その正体は不明だけど、どの位置から発せられているかはなんとなくわかっている。
そいつは今窓枠に片足だけ下ろして座っている。
…そう、部長だ。
正確には、部長の視線である。
さっきから、というか部屋に入った瞬間からもうずーっと部長に睨まれているのだ。
いや、部長はおにぎりお面を被っているからはっきりとにらみ顔を見たわけじゃない。
でも、なのに感じるのだ。
その恐ろしいオーラを…。
僕は不思議と体が冷えてきた。
「うぅ…寒い…なんだか妙に体が冷えるぞ。」
「大丈夫?」
素敵女子がさらりと髪をたらしうつむく僕の顔を覗きこんだ。
僕は3mぐらいあとずさる。
「だいっじょうぶです!」
「そう。」
素敵女子、夢ちゃんはにっこりと微笑む。
そしてあっさりひきさがる。…部長の隣に。
仁王立ちの鈴木は何故かむっつりと機嫌が悪い。
…しかし僕はそれら全てに構っている暇はなかった。
…なぜなら突如マラソンを始めた心臓を無理矢理抑え込むのに必死だったからである。
僕はひっひっふーと息を整えた。
脳に酸素を送ると自然に思考が冴えて?くる。
…やっぱり夢ちゃんもお金が欲しくてこのサークルに入ったんだろうか?
いくら僕の寄付で父親を救っていたとしても、生活は困難を極めているだろう。
僕は世知辛さにふかぁく溜め息をついたのだった。