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私の主張

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しかしやはりどうにも怪しいのでその場は一旦話を切り上げることにした。

もう一度よく考えると言うと鈴木は、あぁ、そうした方がいいと軽く答えた。
そんな優しい鈴木だというのに悪いが実のとこいまいち信用できない。

…おにぎりサークル?…

そんなもの本当に存在するのか?




…その答えを得るべく、僕はそこらを歩いていた友人を突然捕まえ携帯を奪った。
僕の携帯はもうない。


友人は、なんだ春かよお前でかすぎてこえーよつうかモバゲーしてたんだから返せよとなじっている。
僕は容赦なくモバゲーを終了させ、代わりに「おにぎりサークル」と調べてみた。

…果たして本当にあるのか。
鈴木のアメリカンジョークではないのか。
全国に存在するなんてありえるのか。


ウィキでカコカコ入力しながら携帯を奪い返そうとする友人を避け、背伸びした。

こんなときでかいのは便利、便利だ。


「んっと…どれどれ…。」







「…あぁ?!」


あっ

ある…!


僕は夢中で隅から隅まで読み進めた。


ルール説明は鈴木のものとだいたい同じようだ。


…本当にあったとは。


そこでふと気になるサークル規約を見付けた。



「…『…サークルの創始者、則ち静岡支部某大学での部長を勤める人物の正体を調べる行為及び接触は禁止されている。』…」

…へー、案外厳しい…んん?


またもや怪しい規約を発見する。
友人は跳びはねることを諦めたのか今では僕の脇をくすぐるという卑怯極まりない攻撃に変化していた。

僕は人の携帯を片手に走り去った。
友人の声がドロボーと追い掛けてくる。


まぁ仕方ない。


『このサークルでは通常道理に合わないと思われている様な心理作戦が認められている。いかに非道かつ残忍な行為であろうと、心理作戦である以上訴えは本部に聞き入れられない。』


…え?
ええっ?
心理作戦なんてあんのか?!
おにぎり握るのに!!


僕はますます訳がわからなくなった。
それにしても友人が携帯を取り返しにくる前に急いで読み終わらなくては!

…意外と長いおにぎりサークル情報。
僕は再びカチカチと読み進める。


『おにぎりサークルは全国47都道府県大学中、静岡に1、愛知に2、東京に4、大阪に1、香川に1、長崎に2、沖縄に1、神奈川に1、新潟に3、北海道に3と計19サークルが存在している。その中でも強豪と恐れられているチームは静岡本部に在籍している「チーム・ぶいぶい」、愛知県内某大学に在籍している「チーム…』


「とったぁ!!」

「あぁっ」


友人はケケケと高笑いしながら携帯を僕の手からもぎ取り走り去っていった。
こんちくしょっ。


…しかし最大?のライバルが僕の故郷の愛知に存在するとは。
どちらを応援すればいいんだ!


「…」

僕はなんとなく頭を掻きながら考えた。
外の空に浮かぶ白い雲が三角形に見えてくる。

僕は自分でもなかなか意外な決意をした。


…入るか、サークル。


金欲しいし、何より…。




部長の正体が気になる。

作品名:私の主張 作家名:川口暁