小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

ブラッディーネーブル-僕の小屋-

INDEX|2ページ/3ページ|

次のページ前のページ
 

Episode.1 丸ごと迷子



この小屋で生活し始めてもうどの位経っただろう?
2週間・・・位だろうか。
もはや僕の日にち感覚は薄れてきていた。
見知らぬこんなボロ小屋で目を覚まし、一瞬もしかしたら自分が誘拐でもされたのかと思ったが、外に見張りらしき人物も見えない。

というか見張りらしき人物どころか、全くといって良い程人気がない。

しかし、一等不気味な出来事といえば、毎朝起きるとカゴに盛った食材が小屋の前に置かれている事だった。
もちろん初めはそんな不審な食材には手を出さなかったが、ある事をきっかけで食材にカラクリは無い事を知った。


「おはよー!」

そう、こいつ。毎朝この小屋にやってくるふわふわのウェーブがかった栗色の髪の女。
この女のせいで・・・というよりもお陰で、というべきだろうか。
とにかく、この女が突然元気よく扉を破らんばかりの勢いでやってきて調理し始めたことがその食材に手を出すきっかけとなった訳だ。
ちなみにこの2週間程僕はこの女以外の人間を目にしていない。


この女がなんなのかは今の僕にもわからなかった。
この女は毎朝僕が起きてすぐ顔を出し、食事を作る以外に何をするでもなく、僕の眠る夜中にどこともわからない場所へと帰っていく。
僕がこの小屋で生活している事に対して疑問を投げかけてくることも無かった。


何故だろう、僕も彼女にその問題に触れるような質問をした事がない。
僕にはここへ来る前の記憶がなくなってしまっているようだし、どこかあてになるような場所も無かったのだ。
最初はそれは戸惑った。
けれど、僕にはあてもなく出口もわからない森の中へ入る勇気は無く、慣れてしまえば居心地も良くなってきたこの小屋を出る理由が無かった。