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私的文章創作研究

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◆視点・文体
実際に文章を書くときに注意していることなどをあげてみます。
まず、私は視点と文体を気にします。

・視点
三人称
 文体へ
一人称
 視点の切り替えの有無(なし・群像劇など)
 誰の視点か(主人公・助手役・ヒロインなど)

・文体
ジャンルのもつ空気
 堅さ・テンポ・比喩など

こんな風に書いてもわかりにくいので、例を挙げてみましょう。
お題は『朝起きた主人公の様子』で。

『一人称・主人公視点』
「んん、あっつー」
 あまりの寝苦しさに、思わず起きてしまった俺。
 まずは時計を見る。まだ針は六時をさしている。どう考えても、起きるには早すぎだ。
 次に窓の外を見れば、すでに日は昇りギラギラと迷惑な熱量を発している。毎朝毎朝、太陽の野郎もご苦労なことだ。たまには寝坊ぐらいしやがれ。
 とはいえ、これだけ暑くては寝るに寝られない。
「はぁ、しかたない。起きますか」
 ぼやきつつ、俺は未練たらたらで起きるのだった。

『一人称・ヒロイン(ストーカー)視点』
「んん、あっつー」
 言いながら、彼は身体を起こした。どうやら、余りの暑さに起きてしまったようだ。まだ寝たい、という雰囲気がひしひしと伝わってくる。
 それも仕方ない。まだ時刻は六時を少し過ぎたところだ。普段八時まで寝ているような彼にとって、この時間はいかにも早すぎるだろう。
 窓の外に目を向ける彼。ああもう! なんで絵になるのかしら!! これだから、あなたを監視――もとい見守るのはやめられないわ。
「はぁ、しかたない。起きますか」
 彼はそう呟いて、ゆっくりと起きる。
 その様子を確認して、私はこそこそとその場を後にするのだった。

『三人称視点・軽め、テンポ速、比喩なし』
「んん、あっつー」
 少年はそう言いながら、身体を起こした。
 汗だくに眠そうな目。まだ寝たいらしい。
 時間は六時すぎだ。
 すでにストーカー少女は来ている。どうやらストーカー少女の朝は早いようだ。
 少女にまったく気づかず、少年はのんびりと外を見る。
(……毎朝毎朝、太陽の野郎もご苦労なことだ。たまには寝坊ぐらいしやがれ)
 なんてアホなことを考える少年を見て、なにを思ったか少女は興奮度マックス。
「はぁ、しかたない。起きますか」
 彼が立ち上がると同時、少女は興奮しながら去って行った。

『三人称視点・重め、テンポ遅、比喩多用』
「んん、あっつー」
 先ほどまで寝ていた少年が、目を覚ました。布団を払いのけ、身体を起こす。
 水泳でもしてきたかのように、少年の身体は汗で濡れている。半目になっているのは、おそらくまだ寝たりないのだろう。
 その様子を、熱烈なまでに好意的な、好奇の瞳で見るものが一人。少女だ。
 その見た目からして、歳は少年と同程度と見える。
 しかし、現在時刻は六時である。何故少女はそんなところにいるのか。
 端的に言ってしまえば、少女はいわゆるストーカーであるのだ。それに少年はまったく気づかない。げに恐ろしき少女の恋心、と言ってしまっていいのか悪いのか。
 ともかく、少女は忍者顔負けの隠密性を発揮し、少年の様子を見ているのだ。
 少年が、窓の外へと視線を動かす。
 その先には、炎の如く熱を放つ太陽がある。少年は精一杯の憎悪で太陽を睨むが、当然、太陽は気にもかけない。
 少女は少年のなにを勘違いしたのか、鼻息を荒く、目を皿にして食い入るように見つめる。恋する乙女の幻想、ここに極まり。
「はぁ、しかたない。起きますか」
 少年は諦めたように言い、のろのろと立ち上がった。
 その様子を確認すると、少女はひっそりとその場を後にするのだった。

こんな感じで。
どうにも文章力が低いので、いまいち書きわけができていないかと思いますが、参考までにどうぞ。

ところで、視点はどのタイミングで変更すべきなのでしょうか。
あまり頻繁に視点を変えると、読者の方が混乱するような文章になってしまうことがあります。
ですので、オススメは章を変えたときです。

そもそも視点の変更を嫌う方もいらっしゃいますので、あまり視点を変えるのはやめておいた方が無難かも知れません。



作品名:私的文章創作研究 作家名:空言縁