少女機械人形コーパス 第一幕
第一幕
第四場
〜Amat victoria curam.〜(勝利は、苦労する人々を好む)
1月10日
午前11時22分
コーパス第225区画
左文字
「よう、七々原」
七々原
「左文字さん……」
左文字
「もうすっかりいいのか?」
七々原
「はい。俺はもういつでも乗れますよ」
左文字
「ん、そうか」
七々原
「………」
左文字
「どーした? 顔が暗いな。どっか行くんじゃないのか?」
七々原
「C地区の医療エリアへ行く途中です」
左文字
「知り合いにでも何かあったのか?」
七々原
「はい……。俺が治療を受けている頃、俺の……その、友人も同じように目を怪我していたみたいで」
左文字
「見舞いに行く途中だったんだな、引き止めてすまない」
七々原
「いえ、そんな。……実を言うと、少し会うのが怖いんです」
左文字
「怖い?」
七々原
「ミリカの……妹の話では、その友人の視力はもう戻らないみたいだから。俺は治ったのに……やぱりコーパスの医師は民間の医師より、優秀なんでしょうか」
左文字
「……多少は選ばれた人間だろうな、それは」
七々原
「……紗香ちゃんも……コーパスに見てもらったら、治ったかもしれないのに……! 俺が、もっともっとパイロットとして認められてば……!」
左文字
「七々原……」
七々原
「俺、紗香ちゃん……あ、その友人ですけど。その……紗香ちゃんとコーパスに入る前に約束してた事があったんですよ」
左文字
「約束?」
七々原
「一緒に星空のスクリーンを見ようって」
作品名:少女機械人形コーパス 第一幕 作家名:有馬音文



