少女機械人形コーパス 第一幕
<デタレドッグ>
12月23日
午後01時25分
デーケルターレドッグ
ウィィィン
<SE扉開閉音>
ジョエル
「巳上主任!」
タッタッタ
<SE駆け足音>
巳上
「? …! ジョエル!」
ジョエル
「ハァッ……ハァッ……ハァッ……〜〜。」
巳上
「もう大丈夫なの?」
ジョエル
「はい! もうすっかり。退院したら、真っ先に……ハァッ……巳上主任にお会いしたくて」
巳上
「ふふっ。有難う。でも、走ってこなくても良かったのに。病み上がりにはキツイでしょ?」
ジョエル
「ハァッ……す、少しキツイですね……やっぱり……ハァッ。でも、会えて良かったです」
巳上
「ふふ。じゃあ、ちょっと休憩室にでも行こっか」
ジョエル
「はい!」
メカニック休憩室
<SE足音 着席音>
巳上
「はい、お水」
ジョエル
「有難うございます!いただきますっ。…ンッ……ンッ……〜〜ッ」
ジョエル
「ふ〜〜っ。落ち着きました」
巳上
「良かった」
ジョエル
「巳上主任。あのっ。ボクが治療を受けている間、毎日来て下さった事――本当に感謝しています。有難うございました!」
巳上
「やだ、そんな改まって言われるような事じゃないわ」
ジョエル
「ボク、本当に嬉しかったんです。1人で医務室のベッドに横たわっていると、怖さだけが鮮明に蘇ってきて……」
巳上
「ジョエル……」
ジョエル
「でもそんな時に巳上主任が来てくれると、その時間だけは全部忘れられたんです」
巳上
「……ごめんね。もっと沢山そばにいられたら良かったんだけど……」
ジョエル
「いえ! そんなっ。ボクそんなつもりじゃっ」
巳上
「分かってる。私が勝手にそう思っちゃうだけよ」
ジョエル
「巳上主任……」
作品名:少女機械人形コーパス 第一幕 作家名:有馬音文