少女機械人形コーパス 第一幕
<地下都市マヌス医療エリア>
<SEばたばたと走る音>
同日 午後06時30分
地底都市マヌス Cエリア医療ゾーン
看護婦
「医療ゾーンで走るのは止めて下さい!」
ミリカ
「ごっごめんなさい!」
ミリカ
(だけどだけどだけどっ!)
同 506号室
<室内>
ミリカ
「紗香ちゃん!!」
二野上
「……その声……ミリカちゃんね……?」
<スチル目に包帯サヤカ>
ミリカ
「紗香ちゃん……その目……!」
二野上
「ちょっとドジしちゃった」
ミリカ
「ドジって……どうやったら……そんな……!」
二野上
「ごめんね。あんまり……話したくないの……」
ミリカ
「………」
二野上
「あ、ミリカちゃん泣きそうになってる?」
ミリカ
「なっ……なんで……」
二野上
「目は見えなくなっちゃったけど、ミリカちゃんがどんな顔してるか位は分かるよ。……親友だもん」
ミリカ
「紗香ちゃん……っ!」
二野上
「大丈夫よ、体は元気なんだし。それに……これ位で済んで良かった……。きっと先輩も……」
ミリカ
「先輩? お兄ちゃんが……何?」
二野上
「……ううん。……見たかったなって」
ミリカ
「?」
二野上
「……先輩と見たかったな。星空のスクリーン」
ミリカ
「紗香ちゃ……っ!」
二野上
「ふふっ。もう、叶わないけど……」
ミリカ
「そんな事ないよ!」
二野上
「でも……私の目は……もう……」
ミリカ
「ミリカが目になる!」
二野上
「……え?」
ミリカ
「ミリカが見たもの、全部全部お話するから! 目の前に広がるもの全部! 色も形も光りもっ……全部……全部ミリカがお話するからぁっ……!」
二野上
「ミリカちゃん……」
ミリカ
「うっ…ぐす……っ」
二野上
「有難う、ミリカちゃん」
二野上
(先輩……あなたを思うと私は――)
二野上
(私は――どんな事でも耐えられる。)
二野上
(いつかミリカちゃんも乗るのかな……デーケルターレに……先輩を助ける為に……)
ミリカ
「ぐすっ……ぐすっ……えっ……」
二野上
(………コアとして)
第二場 幕
作品名:少女機械人形コーパス 第一幕 作家名:有馬音文