少女機械人形コーパス 第一幕
<SE扉開閉音>
ウィィィン
野柳
「失礼する」
巳上
「野柳博士っ。お疲れ様です!」
野柳
「ああ。ジョエル君、具合はどうかな?」
ジョエル
「だいぶ……いいです。」
野柳
「そうか、それは何より。そろそろ退屈になって来た頃だろうが、傷が完全に癒えるまでの辛抱だ」
ジョエル
「巳上主任が……毎日来てくれるし……退屈は……してません」
巳上
「ふふっ、有難う! そう言って貰えて嬉しいわ」
野柳
「ほう……巳上主任が」
巳上
「あっ、メカニックの仕事はちゃんとしてますっ。えっと、その」
野柳
「いや、実に良い事だよ。これからも、ジョエル君の事を頼むよ」
巳上
「あっ、はい! 勿論です」
野柳
「安心したよ、ジョエル君。これからも巳上主任を頼るといい」
ジョエル
「はい……。あのっ……饗庭さんは……? ボク、ライブに行けなくて……約束……」
野柳
「ああ、そうか。君は知らなかったね……彼女は急病でライブは中止になったんだ」
ジョエル
「……急病……? じゃあ……お見舞いに……」
野柳
「それが、私でも彼女に会えないんだよ。
些細な所から情報が漏れたら、医療エリアは大混乱だっていうマネージャーに、がっちりガードされてしまってね」
ジョエル
「そう……ですか」
作品名:少女機械人形コーパス 第一幕 作家名:有馬音文