少女機械人形コーパス 第一幕
<背景・医務室>
12月16日
午前10時22分
コーパス医務室
巳上
「どう?ジョエル」
ジョエル
「はい……随分……よく、なりました……」
巳上
「そう、良かった。あっ、まだ無理しちゃだめよ。あんまり、喋らなくていいから」
ジョエル
「はい……」
巳上
「もう10日になるのね。早いわ」
ジョエル
「………」
巳上
「デーケルターレの修理は完了済み。外傷自体は少なかったし、いつでも起動出来るわ」
ジョエル
「……よかっ……た」
巳上
「あんな風に急にヴィロネカートが襲来して、あんな思いで戦って……もう2度と乗りたくないでしょうけど……」
ジョエル
「そんな事……ないです」
巳上
「……そう。強いのね」
ジョエル
「新しい……パイロットは?」
巳上
「えぇ、七々原玲くんと言ってね。あなたより3つ年上の16歳で、とっても元気な子。毎日毎日、京介にミッチシしごかれてるわ」
ジョエル
「七々原……くん」
巳上
「うん。……京介、あの白い球体の襲来以来、戦闘訓練にすごく力入れてるから。
あんな……もう一体のヴィロネカートが襲ってくるなんて……想定していなかった訳ではないけど、可能性としてはすごく低い事だと思っていたし。『楔の悪魔』を中心とした訓練ばかりだったから」
ジョエル
「また……来るんでしょうか」
巳上
「――分からないわ。でも、その可能性は高いと池峰総司令は考えているみたい」
ジョエル
「父さんが……」
作品名:少女機械人形コーパス 第一幕 作家名:有馬音文