少女機械人形コーパス 第一幕
ウィィィン
<SE扉開閉音>
???
「失礼します」
左文字
「ん? ああ、尾ヶ崎か」
尾ヶ崎
「お取り込み中でしたか?」
尾ヶ崎久美子―Kumiko Ogasaki― 18歳。
コーパス参謀部・作戦担当第三部参謀。
前参謀であった左文字が参謀長へと昇進した際、その実力を認められ、若くして参謀の地位に就いた。
左文字
「いいや、全然。どした?」
尾ヶ崎
「先のシミュレーションルームでの訓練におけるデーケルターレ、及びパイロットのデータが一通り出ましたので、少しお時間を頂ければと思います」
左文字
「おっ、了解」
巳上
「じゃあ、私は行くから」
左文字
「ん、じゃーな」
巳上
「尾ヶ崎参謀、失礼しました」
尾ヶ崎
「いえ、お疲れ様です」
ウィィィン
<扉開閉音 巳上消>
尾ヶ崎
「……やっぱり、もう少しタイミングを見はかるべきでした。巳上主任がいらっしゃるとは思いませんでしたので」
左文字
「何? 尾ヶ崎、気ぃ使ってんの?」
尾ヶ崎
「左文字参謀長は私の崇拝する上司です。その方の肉体的・精神的ケアをなされている方ですから、気を使うのは当然ですっ。……はぁ。完全にタイミングを間違えました」
左文字
「……。気持ちは受け取っとく。でもコレ仕事だからな」
尾ヶ崎
「そっ、そうですよね! なにも逢瀬の邪魔をしたわけでもないですしねっ」
左文字
「……。尾ヶ崎、気を回し過ぎだ」
尾ヶ崎
「すっ、すみませんっ」
左文字
「いや、そーいう事じゃなくてな……。まぁいい、とにかくデータを見せてくれ。」
尾ヶ崎
「はっ、はい!」
<背景・廊下>
<SE・足音>
巳上
(尾ヶ崎参謀のデータ……)
巳上
(シミュレーションルーム……か)
巳上
(……デーケルターレには何かある。あれは単なる兵器なんかじゃないわ……。私達メカニックはコアを搭載する際にアルカシステムを調整するだけ……でもその中は……?)
作品名:少女機械人形コーパス 第一幕 作家名:有馬音文