少女機械人形コーパス 第一幕
土方
『まだよ! まだ殲滅は完了していない! トリガーを引き続けて!』
無情な命令がコクピットに響き渡る。
七々原
「あ…ああ……ああああ!!」
このまま大地に倒れこんでいては、まだ生きているヴィロネカートの餌食となるのは明白だった。残された両腕に必至に力を入れようとするが、徒労に終わってしまう。
尾ヶ崎
『七々原君ッ!』
野柳
『そのままでは、殺されるよ。それはマズイんじゃないのかな』
コクピット内に響く作戦本部からの通信。野柳の言葉に触発されたかのように、うっすらとデーケルターレが光を放ち始める。
<お兄ちゃん……!>
七々原
「ミリ…カ……?」
<死なないでお兄ちゃん!>
七々原
「ごめ……俺……もう……」
ヴィロネカートは次は両腕を狙っているかのように、倒れこんだままのデーケルターレへ目標を定める。
<お兄ちゃん死んじゃイヤアアアアーーーーーーッッ!!>
脳内で愛する妹の声が響いたその時、デーケルターレも白い光を放つ。閃光に怯んだヴィロネカートに向かって満身の力を込めて、フラマー兵器のトリガーを引く。
七々原
(くっ……!この光……また……!でも、力が……また……!)
七々原
「これならっ!くらえ……………っ!!」
燃料の全てが尽きるまで、倒れこんだままフラマー兵器のトリガーを引き続ける。デーケルターレの腕に向かってきていたヴィロネカートはその体を完全に炎に包まれ、無惨に溶解していく。
七々原
「ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……」
ノズルからの炎の噴射が止まり、黒く焼かれたヴィロネカートが再生する事無く、ただただ腐敗した大地へと沈んでいくのを確認し、七々原はその意識を失った。
作品名:少女機械人形コーパス 第一幕 作家名:有馬音文



