小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

神待ち少女

INDEX|4ページ/48ページ|

次のページ前のページ
 

 ここで再び親指の動きが止まった。
 心の中では、ほとんどこのオフ会に行くことが決定的になっていた。しかしまだ一抹の不安があった。だって知らない大人たちにまぎれて酒を飲むわけでしょ?さっきも思ったけど本当に安全なのかなぁ。
 まぁ群れるのが好きではないとはいっても、人付き合いが苦手なわけではない。人見知りはしないほうだ。個人情報を教えなければだいじょうぶだろう。だって食事がタダでありつけるなんて、これは見過ごせないことだよ。
 なんとか良い理由を見つけて、行くことを正当化しているのがわかった。
 しょうがない。自分に言い聞かせた。
 再び携帯の画面に目をやり、下へスクロールした。参加ボタンにカーソルをやる。
「うん、大丈夫」
 今度は声に出して、自分に言い聞かせた。
 ボタンを押した。そうしたら、コメントを書かなければならないようだ。一瞬考えて、
「今日のオフ会参加しようと思います。初参加でドキドキですが、楽しみたいとおもいます。」
 別にオフ会を楽しむために行くわけじゃないが、一応こう書いておいたほうがいいよね。食事が目的なんてさすがに、ね。
 次は、副管理人にメッセージを送ろう。確かエキセントリック少年とかいうニックネームだったよね。つくづく変な名前だ。ウケを狙っているのか、学園祭のノリだな。
 エキセントリック少年のページへ行った。一応プロフィールを見てみよう。
 名前は、いとう としか書いてなかった。住所は東京都新宿区。家が近いんだ。年齢は29歳で、誕生日は11月11日。まぁどうでもいいか。プロフィールを見るのはもういいや。メッセージを送ろう。
「はじめまして。今日の新宿の焼肉のオフ会参加します。学生ですけど大丈夫ですよね?」
 とりあえずある程度どんな人間が来るか想像できるように、学生というワードを使ってみた。まぁ高校生がくるとは思わないだろうな。年齢は、酒を飲むだろうし、20歳という設定にしておこう。
 嘘をつくことになってしまうので、少し緊張が生まれた。でも、大丈夫。女なんて見た目じゃわからないよ。たぶん。
 返信を待つ。これで大丈夫、今日は安泰だわ。だんだん気持ちを高めていった。そうしないと後悔しそうだから。
 返事はすぐ返ってきた。待ったという感覚は全然ない。トイレに行って帰ってきたぐらいだ。
「メッセありがとうございます。学生でも大丈夫ですよ。現在男女10人います。20代30代が多く、はじめましてさんが多いオフ会です。参加可能でしたら、メッセージ返信の上新宿駅東口歌舞伎町一番街の下、セブンイレブンの脇におねがいします。」
 待ち合わせをするのか。始まるのが21時からだから、15分前くらいに待ち合わせ場所に着けばいいだろう。
 これから暇だ。何をして時間を潰そう?
 てかもうやるべきことをやり終えた感がある。行くの面倒だな。ははっと笑ってしまう。
 まさかこんなことになるとは。生きていくためにはしょうがないか。まぁこれは悪いことじゃないから。

作品名:神待ち少女 作家名:ちゅん