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神待ち少女

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第1章 〜きっかけ〜



「金がたりないや」
 からっぽの財布を下に向けて呟いた。ゴールデンウィークに調子乗ったせいだ。今月残りどうしようか。
 母さんが出て行ってはや1ヶ月。生活費は毎月1日に送ってきてくれる、しかも郵送で。
 1ヶ月か…。その間に私は高校2年生になった。今でも覚えているよ、あの日のことを。
 4月1日、家に帰ったら誰もいなくて、テーブルに手紙が置いてあった。母さんの字だった。
「母さんは少し家を空けます。心配しないで大丈夫よ。お金は毎月家に送るようにするから。こっちの用事が済んだらすぐかえるから。ごめんね」
 エイプリルフールではない。こっちの用事というのは、たぶん父さんのことだろうな。
 母さんは今でも父さんのことが好きだった。勝手に出て行った父さんを責めたことは一回もなかった。
 その父さんに会いに行ったのだと思う。父さんが今どうしているかまったく知らない。母さんが隠れて連絡を取っていることは知っていたが。まぁろくでもない人生を送っていたことだろうね。
 それにしても1ヶ月帰ってこないというのはどういうこと?
 しばらくは帰ってこないだろうとは思っていたけど。1ヶ月も経ってまだ帰ってこないとなると、ずっと帰ってこないんじゃ?電話しても全然出ないし。
 でもまだ金が家に届くので、まだ私のことを見限ったわけではないようだけど。
 まぁあまりくよくよしてもしょうがない。とりあえず今月をどうやって生きよう?
 今日は金曜日で明日から休みだから、休み中にどうにかするしかないよね。なけなしの脳みそでいろいろ考えをめぐらせた。
 まずバイトをしようかと考えたが、うちの学校がバイト禁止のことを即思い出した。まったく融通が利かない。
 それ以外で考えると、女に生まれたし、体を売るしかないのか…。
 それ以外金を稼ぐ方法が思いつかないのが情けない。テレビの見すぎだわ。もっと現実的に考えなきゃ。
 さすがにそれは最終手段だよね。これまでいろいろ考えるたびに、そのことが頭によぎっては消えるという状況が続いていた。
 でも視点を変えて考えると、これが一番手っ取り早いよね。たった一回で何万円と稼げるわけでしょ。ただひたすら腰を振り、声をあげ、欲望が突き動くままに体をからませる。そして金をもらう。
 そんなことに金を出す男がちょっと調べればごまんといるわけだから、セックスってとても需要が高いのね。
 こんなことに真剣に考えている自分が馬鹿らしくなってきた。そもそもセックスっていうことばが頭に浮かんできただけで、なんか恥ずかしかった。いやらしい意味ではなくて、幼心にエッチなことばに反応した時と同じような感じ。まぁこんな話は終わりにしよう。
 本題に戻ろう。まず必要なものは何だろう?
 真っ先に思いつくのは食べ物だ。これないと生きていけないし。家にはほとんど食材がないからね。
 とりあえず引き出しとか、ポケットの中とか、とにかく家の中のいたるところを調べて、金を集めてみよう。けだるい体に力を入れて立ち上がり、ふらふらと部屋の中を歩き始めた。うちの家が思った以上に広く感じた。3LDKで居間は20畳ある。一人で住むには広すぎるかもね。
 通帳とか印鑑は母さんが全部持ってっちゃったしな。なんとか小銭をかき集めた。
 500円玉が2つと、100円玉が8つと、10円玉が14枚と、1円玉が6枚。学校の鞄の中で500円玉を見つけたときはテンションが上がったね。ぱっと見小銭だと面積をとるから、たくさん金があるんじゃないかと思ってしまう。
 全部で1946円か…。それであと25日。1日100円すら使えない。想像してみるとそれはホームレス並みだわ。なんか考えれば考えるほど面倒になってきた。瞼が重くなって、眠くなってきた。
 とりあえず寝て明日考えよう。眠気に誘われて部屋に戻り、ベッドにダイブした。もう0時を過ぎていた。

作品名:神待ち少女 作家名:ちゅん