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VARIANTAS ACT 15 鉄鋼人

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 その兵士は、その右手に持った拳銃をゆっくりこちらに向けた。
 その銃…
 ジーナには見覚えがあった。
 彼と…
 ティックと同じ銃…
「マハト…」
 次の瞬間、その銃が火を噴いた。
 その弾丸を、辛うじて避けるジーナ。
 彼等は急いで、交差する通路の角に隠れる。
 叫ぶガント。
「なんだありゃどういう事だ?」
 ジーナが呟いた。
「対機甲大型拳銃マハト…!」
「マハト?」
 エイトが聞き返した。
 ジーナは答える。
「あいつが持ってる拳銃の名前…。ファントムの標準装備!」
 次の瞬間、コンクリートの壁を砕いて、マハトの弾丸が曲がり角を撃ち抜く。
「うおい!弾がビシバシ通ったぞ!」
「だから言ったでしょ!対機甲大型拳銃だって!本来はMAPSとか装甲車を撃破するための銃なんだから!教官は、いつも大切そうに持ち歩いてた…」
「それじゃあ奴はファントム!?」
「それよりどうするんだこの状況!」
 ガントが言った。
「俺が出る…!」
 ガントはグレネードマシンガンを構えて角を出た。
「ガント、駄目ェ!」
 制止するジーナの声を無視し、彼はトリガーを引いた。
「この野郎ぉぉ!」
 連射されるグレネードは、ファントムの胴体に命中して炸裂。
 爆炎と硝煙が、奴の姿を覆い隠す。
 弾切れするグレネードマシンガン。
 突然、一発の弾丸が彼を貫いた。
「ガントォォ!」
 仰向きに倒れるガント。
 弾丸は彼の肩を貫いていた。
「ぐ…、複合セラミック装甲が紙だ!」
「起きろガント!」
 彼の頭にマハトを突き付けるファントム。
 絞り込まれる引き金。
 マハトの撃鉄が落ちる寸前、壁を打ち砕いて、もう一つの巨人が姿を現した。
「01!」
「教官!」
 ガントとファントムの間に入って立つティック。
 彼はジーナに言った。
「早く撤収しろ。こいつの相手は私がする」
「しかし…!」
「これ以上消耗を増やすな」
 二人の横を通り、脱出していくジーナ達。
 それを見送るティックは、彼等の姿が見えなくなったのを確認すると、ゆっくり話し始めた。
「9年…9年捜した」
「まさかこんな形になるとはな」
 見合う二人。
 その姿はまるで鏡のように。
「無理か?」
「ああ、無理だ」
 ティックは、自分のマハトを抜き構えた。
「9年分…」
「ああ、9年分だ」
 同時に引かれる引き金。
 二人はまるで吸い寄せられるかのように…。
 導かれるかのようにぶつかり合った。