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【過去作】私の青空2 プーチンクエスト【2000年(16歳)】

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「俺は・・・俺は・・・駒じゃねえええ!!!」「くっ!」椎本は、踏まれている右手一本を力任せに振り上げた。団長が、堪らずひっくり返る。「くっ、ガキが!」「うわあああ!」椎本がリボルバーを拾いにかかる。団長は、自分の足がそこに来る事を計算し、起き上がりつつ思いきり蹴り飛ばした。リボルバーは、フローリングされた床上をつるつると、50メートル程滑った。しかも、その振り上げた足は必死で跳びかかって来た椎本の顔面にクリーンヒットした。「ぐっ!」団長に思わず笑みが零れた。
すかさず、二発、三発蹴りを続けて打ち込む。「ぐっ!ぶふっ!」「止めだ、椎本。やはりお前は『成れ』ない男なんだ」「俺は・・・俺は!守るべき物を守る為に!初めて守りたいと思えた!お前を倒さなければいけないんだ!」椎本は、痺れつつある手足を、無理矢理乗りこなし、後方遥か50メートル先にあるリボルバーに向かって、全力でダッシュした。「ちっ、させるか!」
団長も遅れて走り出す。時間的には、一瞬だが、途方も無く長い50メートル。死の徒競走。
それは先にリボルバーを拾った方の勝ちを意味していた。後40メートル。30メートル。20メートル。
10、9、8、7、6、5、4、3、メートルまで来た所で、団長が飛び上がった。椎本に覆い被さる。
「ぐおっ!」転げもつれるようにして二つの身体は銃の上を通過した。そして、止まる。
上に乗ったのは・・・団長だ。「残念!椎本、お前はとことん運の無い奴だ」マウントになった団長が椎本の頭を続けざま、殴る。殴る殴る。薄れ行く意識の中、椎本はふと右手を伸ばした。
・・・?何か、硬い手触り。何だ・・・?
椎本は、半ば無意識のまま、手の中に転がり込んできた鉄製の物体を、握り締めた。
夢にまで見たリボルバーだった。銃の柄を上に乗っている奴の頭に叩きつける。攻撃の手が緩んだ。
「チェックメイトだ、団長」さっきは、将棋に例えてたんだっけ。なら王手か。どっちでも良いや―――
椎本は、自分を乗り越える為に、その使い慣れたリボルバーの引金を過去最高に強く引いた。
何か、嫌な感じの生暖かい液体が辺りに飛び散った。
「素敵な悪夢を―――お届けに上がりました」