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【過去作】私の青空2 プーチンクエスト【2000年(16歳)】

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「あ、そうそう、話聞いたらね、エルガー、居たでしょ。ブルガリア人の。あれ殺ってきたんだって」「えっ、ムガル先輩、それ本当ですか」「まあね。俺が死亡確認したんだから間違い無いって。あと家の周りに倒れてたブルガリア人の死亡も確認した」「あの、それで、ムガル・・・さん、椎本は何処に?」
葵が尋ねる。「あ?あの馬鹿は傷も塞がらないのに一昨日どっか出てった。西陣織とはタイムラグがあったんだな」「はあ」「それよりどうだ。葵ちゃん、セルジオ越後になりたいと思った事は無いかな」
「結構です」「・・・!!」ムガルは無性に世界から取り残された様な感覚を覚えた。
-embarrass-
「まあいいか。それじゃあ二人とも、傷が完治するまでここに居ると良い。そのうち西陣織や椎本も帰って来るだろうし」「そういえばムガル先輩、なんで僕ら助かったんですか?崖が崩落してきて生きてるはず無いと思うんですが」「崖?何の話だ?崩落したのは家の玄関だよ」「へ?」「西陣織が家の中で散々銃ぶっ放すもんだから、古い家が耐えきれずに崩れただけだよ」「はあ、てことは・・・」
「いくら塩素で出来てるからって雨降るたびそんな崩落危険のある所に村作る訳無いだろう。ははあ、さてはあいつハッタリだけでSATを追い払ったんだな」「・・・」西陣織の恐ろしさを再確認した五十六だった。
「そっからあいつ、勝手に俺の家まで直通のトンネル掘ってやがってよ。全く迷惑な客だぜ。よし。
お前らも落ち着いたな。それじゃあ、早速二人に買い出しに行ってもらおうかな」「へ?ムガル先輩、何言ってるんですか?病人ですよ」
「病人だからって只で寝泊りする訳じゃねぇだろうな?えぇコラ」「・・・」「あっ?そうだ、五十六さん、私達って立てこもりの主格犯だってバレて、多分テレビで指名手配されてるんじゃないですか?」「そうか!いやあ、そんな状況じゃパシリは、無理ですねえ」「心配無用」「えっ?」
「お前らの死亡診断書は俺が提出しておいた。一度死んだ人間だ、罪で裁かれる事は無いだろう」
五十六は思った。この人もとんでもない人だ。近い内に脱走してやろうと。


最終章 「prease sweet nightmare」

10月8日 寒露

薄暗い。
暗い。
冷たい。
そんな神経質な建築物の中で男が一人動いていた。