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【過去作】私の青空2 プーチンクエスト【2000年(16歳)】

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「いいか、良く聞け。第三話から読んでる人は解ると思うけど玉筋魚村の表土の3分の2は塩素で構成されているんだ。ましてや昨日からの大雨。塩素で出来た土は一体どうなると思う?」
「うーんとね、えーとね、ジャミラ?」(意訳)「違うな。塩素は水に溶けるんだ。理科で習っただろう。土壌の3分の2が水になるってのは、泥流の一歩手前、いや半歩手前ぐらいになるって事だ。昔から玉筋魚村の人間は雨が降るとじっ・・・と雌伏する様に教えられてきた。何故か解るか? 強い衝撃を与えると、崩落の危険があるからだ」漸く理解出来たのだろう、そこまで言ってエルガー含めSAT達の顔色が変わった。
「た、隊長ヤバいですよ」「こいつら本気です」「あ、慌てるな・・・落ち着け、落ち着いて・・・」
「全員退却!逃げろぉぉぉ!」「うわあああっ!!!」SAT達は面目も無く息も切れ切れに逃げ出した。
「ばーか」西陣織先輩は、マグナムをもう一度だけ壁に空いてある穴から外に撃ち出した。
弾丸の先には、切り立った崖。
確か、そこで崩落が始まったような気がするが、何分曖昧な記憶はそこで途切れてしまっていた。
-black out-



五、柏木ムガル 「それから僕達はどうなったのか」

「お、気付いてる気付いてる」葵の病室に初老の男性が一人入ってきた。「だ、誰ですか!?」
「葵ちゃん、心配無い。この人は柏木ムガルって言って、医者だよ」後ろから声をかけたのは五十六だ。
「この人が、倒れてた僕達を運んでくれたんだって」「いや、それは一部違うな」「えっ?」
「運んで来たのは、西陣織だ。あいつが、気絶していたお前ら全員担いで来たんだ」「西陣織さんが・・・」
「そ、それで先輩は?」「ん?ああ、まだ休んでろって言ったんだけど、なんか行く所があるって昨日、出て行った」「そうですか・・・」「ムガル先輩、そういや他の人は?ブルガリア人とか・・・」「椎本」「葵ちゃん」
「椎本はどうなったんですか!?死んだの!?」「・・・椎本は・・・死んだ・・・・・・」
「!!」「訳無いでしょう。俺が応急処置したんだよ?この荻窪辺りじゃあ天才痔持ちドクターとして名を馳せる俺が。まあ何しろ天才だから。ちょちょいで直しちゃった」「椎本が、生きてる・・・」