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【過去作】私の青空2 プーチンクエスト【2000年(16歳)】

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と、そんな折警備員の一人がこんな知らせを持ってきた。
「本部長!管理官!犯人グループの一人と名乗る人物が取引を持ちかけてきました!」
顔面を血まみれにした本部長が振り返って言った。「つなげ」そして、管理官。
「SATを準備させておく」

同日午前9時37分
『ぼリア(略)』進入から47分後

家内部。
「はい、じゃあ大喜利テーマ?『鈴木その子の主成分を教えて下さい』は西陣織さんに優秀賞でーす」「おっしゃあ!みたか関屋!実力の差を!」「でも先輩、それもろ下ネタじゃないですか。卑怯ですよ」「笑止千万!」「まあ、葵、この人はそういう人なんだ」
「ふふふ」何時の間にか、大喜利を繰り返すうちにこの玉筋魚村出身の4人の間には奇妙な絆が生まれかけていた。そこには、葵と椎本の確執と言うものも消え失せて、只、『立てこもり』と言う非日常の中で各様の欣快を、生きる上の至福と変えて仰ぐのみ。人から見れば狂人の蔑みに成り得る、半ば極限状態での馬鹿騒ぎに過ぎないだろう。
だが、彼らは誰よりも、同じ事を悲しみ、慈しみ、本気で怒る事の出来る『仲間』だった。
「なあ、みんな」「どうした、椎本」「俺、今まで一人で生きてると思ってた。でも、今日ここに来て考え方、変わった。なんか、ここって・・・上手く言えないけど・・・暖かいな」
「どうしたんだ、椎本、何か変だぞ、お前」 何気ない、そんな遣り取り一つ一つが椎本の奥に在る何か感情の線を引っ張って仕方無いのだ。「悪い、俺ちょっと煙草吸ってくる」
「肺ガンになるわよ」「・・・葵」涙を見せたく無かった。見られたく無かった。
「みんな、有難う」椎本は溢れる感情の削り粕を拭う為に一人部屋を出ていった。
一方
その頃丁度静岡県警本部長が、何物からかの電話を受けている所だった。
「それで内部の状況は?」「いいか、プーチンなんて嘘っぱちだ。内部を占拠してるのは人質の方。女二人と男一人の素人集団に過ぎない」「解った。そうと解れば直ぐにでもSATを突入させる」「本部長さん、宜しく頼みますよ。くれぐれも、俺だけは撃たないで下さい」「ああ、心配無い」
「それから、例の『温情的措置』もね」「ああ、報酬金を与え、身の安全も保障しよう」