【過去作】私の青空2 プーチンクエスト【2000年(16歳)】
それは、明らかな背信行為であった。この、暗がりで顔は良く見えないが、内通者は持っていた携帯をポケットにしまうと、更に奥の部屋に進もうとした。所だった。「おい―――」
不意に後ろから呼びとめられた、聞き覚えのある声は椎本貫之の物だ。内通者は一言も発さない。
現場を見られた以上、口止めには消すと言う選択肢しか無い事は火を見るより明らかだったからだ。
只、静かに反対側のポケットから鉄製の塊を取り出すと―――ドン。と言う音は出なかった。
「安心しろ、ちゃんとサイレンサーは付けてある」辺りには俄かに硝煙の匂いが立ち込めた事が、内通者の発砲を仄かに示していた。後に椎本の沈んだ重身を残して、内通者は消えた。
椎本の腹部から澱んだ血液が大量に流れ出、小さな川を描いていた。
そして
同日午前9時45分
SAT(特殊急襲部隊)突入
つづく
作品名:【過去作】私の青空2 プーチンクエスト【2000年(16歳)】 作家名:砂義出雲