【過去作】私の青空2 プーチンクエスト【2000年(16歳)】
「大体の筋書きは読める。粗方3人目を俺と同じやり方で殺したのもお前だろ、西陣織」「あらら、いつからアタシを呼び捨て出来る程偉くなったんだ」「確かに俺に銃の使い方を教えてくれたのはお前だった。だがな、俺はいつまでもガキじゃねぇ」「アタシに言わせればまだまだひよっ子よ」「うるせぇ!俺はそんな俺から脱皮する為にブルガリに入ったんだ。お前の手なんか借りずとも立派に食っていけるって証明するためにな」「はぁ、そんなとこが甘ちゃんなのよね。それにそいつを殺ったのはアタシじゃないわ。関屋よ」「なんだって!?葵がそこに居るのか!?」黙って葵がにじり出る。五十六の位置からは、心なしか少し目に涙を溜めているようにも、見えた。「聞こえてるわ、椎本」「葵!?お前、人殺したのか」
「殺したのか、ですって?貴方にそんな事言えた義理があったのかしら」「・・・まだ怒ってるのか、あの事」
「私のお父さんを殺した事!?」「・・・ああ」「そんな事忘れたわよ!何故ならもうあんたは他人なんだから!もう私の許嫁なんかじゃなくなったの!!あんたなんか顔も見たくない!」「関屋、落ち着いて行動・・・」
遅かった。葵は溢れる激情を、手にしたマグナムの発砲と言う形で示した。
・・・無線機を狙った、はずだった。恐らく、葵の小さな手には些か衝撃が突き抜け過ぎたのか、銃身は異様なまでに脈打ち、弾跡は途でもない軌跡を描いた。丁度、壁を突き抜けマスコミを混乱と混沌の渦に叩き込む所を、五十六がリアルタイムで目撃していた。「はい、現場ではちょっと放送事故がありましたが
次は、ピーコのファッションチェックのお時間です」正直こんな時ぐらい止めろよ、と思った。
同日午前8時45分
発砲からさらに5分後
西陣織家の敷地内、マスコミの報道車が立ち並ぶ中、場違いな空気のライトバンが一台止まっていた。
「オイ、シイモト、ツッコムナライマダゾ。マスコミモイナクナッテ、ケイサツモユダンシテイル」
作品名:【過去作】私の青空2 プーチンクエスト【2000年(16歳)】 作家名:砂義出雲