侭歩け暗野の青
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広場は大層明るいらしく、幾つかの建物の向こう側、その上の辺りの空は黄色く霞んでいる。この日の為に捕まえている星が何個かあるのさと男は言った。奴ら悲観主義者でね、まぁただ寂しかったから落っこちてきただけなのさ。一度だけ乗ったことのある錆びたメリーゴーランドの音楽を、滅茶苦茶に掻き混ぜたような音がうねりながら聞こえている。前を歩くサイリアンタから甘いにおいがする。
「お月さまの祭りと言ったけど、月は出ていないね。真っ暗じゃないか」
「怖がって出てこないんだ。お日さまは月を喰いに毎朝上って来るだろう。どっちもいないもんだからここはもうずっと夜さ」