インビンシブル<Invincible.#1-1(1)>
地球太陽系から幾光年離れた銀河に存在する惑星、インパルス。
空気より軽い揚斥力物質を地質に含む地表の大地は定期的に激しい隆起現象を起こし、
隆盛した地形を所々に形成している。
揚斥力物質が地中の中で結晶化したものが、浮遊鉱石<フローティングメタル>と呼ばれる物質で、生成が完了した時には周囲の大地ごと切り取り、
空中へと浮かんで行くことがある。
そんな現象が起こる地表の環境は非常に不安定で、
地上は人が住むには難のある環境であった。
太古の昔に人類は空に浮かぶ大陸と大地の上に移住し、
そこに文明を築き営みを続けてきた。
そうした環境下において、流通・移動の手段として、
インパルスの人類達は空を飛ぶ技術を研究し先鋭的に発展させてきた。
地上や浮島の土壌から採掘される浮遊鉱石を用いて、
インパルスの人類は文明発祥の有史以来から空を自在に飛ぶ技術を研鑽してきた。
文明と技術の発展、人の欲望と闘争心は時代を経るごとに新たな技術と
発明を生みだしていった。
その現時点での最終解が、AA(エリアル・アームド)といわれる機動兵器。
AAは、かつて空戦の主力であった戦闘機や航空戦艦を駆逐するために生みだされた。
今日では、彼らがインパルスの空(戦場)を翔ける主役になっていた。
”灰色の千年紀”(ゲシュペンスト・ミレニアム)と呼ばれたインパルス全域を巻き込んだ約千年間続いた寒冷期が終わりを告げてから約1世紀。
かつての隆盛を取り戻そうと、荒廃したインフラの再整備と経済網の再構築に追われ、
いたずらに時間を浪費するに終始した前世紀。
新世紀の幕開けと共に地球人類との邂逅を果たし、一息つく間もなく
世界は新たな時代へと突入した。
瞬きの早さで移り変わる世界の様相に、人々は色めくばかりであった。
作品名:インビンシブル<Invincible.#1-1(1)> 作家名:ミムロ コトナリ