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郊外物語

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いまから行くけど。持ってきてもらいたいもの、ある? 私の身体は別として? 実家からくすねてきたヘネシーあるわよ。録画をみんなで見るのは、正直言って、私、気が引けるのよ。ねえ、ごく一般的な批評にとどめてね。私の、自分でも気がついていないような恥を指摘されるのは、実は快感なんでかまわないけど、私らの関係が、酔っ払ったときの直感で彼らに気づかれる危険を言ってんの。ああ、余計なことを言ってるわ。あなたがそんなことわかってないはずないよね。私だけ、少し神経質になってるな。けど、やっぱり心配。真砂子さんにどんどんお酒を注いでね。酔っ払わせなきゃ。私に協力してよね。たとえばね、珍案だけどさ、真砂子さんには、あなたは亡くなった元の奥さんの思い出に悩まされている、という風に振舞ってみてよ。元の奥さんの裸体を思い浮かべながらオナニーすることもあって、ごめん、君には悪かった、ぐらいの演技をしてさ。死人に嫉妬するのはかまわないでしょ。真砂子さんの注意を私に向けさせないようにしてよ。ああ、悪かったわ。あなたは他人に命令されるのが何より嫌いだったわね。私の、良かれと思っての提案だから、固く考えないで。そんなこと、言われなくてもとうにやってるよ、しかも、演技じゃなく、ってか? おいおい! 天麩羅を揚げて持っていくわ。こういうことも私はできるのよ。アナゴ、好きでしょ? 私のあそこみたいでしょ? アナゴの天麩羅、たくさん食べてね。私の生のやつも持ってくわよ。そっちのほうはトイレで食べてね!

真砂子はしゃくりのような引き付けを起こす。嗚咽が始まった。泣きじゃくりながら、その前を押す。
作品名:郊外物語 作家名:安西光彦