郊外物語
ゆっくりと真砂子は、横向きになる。外れないように、両足を義人の右の体側にそろえる。ベンチに腰掛けたような格好になる。考える人のポーズをとってみる。さらにゆるゆると体勢を変えていって、左足を、義人の開いた足の間に入れた。右足を寄せていき、左足を義人の体の外に抜く。後ろ向きに跨った。尻の位置をさぐるようにむずむずと動かしてから、頭を義人の両足の間に突っ込んだ。上体を倒したり立てたりを繰り返してから、あと半周回って、義人の顔を正面から再びうかがった。バリトリン氏腺液は潤沢だが、かすかに粘膜が回転方向に繰り返し引っ張られては戻ったという感じが残る。いい感じ。まだ一回転しかしていないのに、義人は早くも頬を紅潮させて目をつぶり眉をしかめていた。もう一回転。もう無理かな? さらにもう一回転。その途中で、真砂子はぞっとした。日御碕の場面を思い出してしまったからだ。昭子が伊都子に突き飛ばされて驚愕の表情を浮かべながら反転するところ。ちょうど椅子に坐るような姿勢になるが、腰の下には何もない。真砂子は途中で、義人の腰に坐ったまま、呆然としてしまった。自分の尻の下に横たわっているものは、確かに支えてくれている。確かに。その時、射精が、噴水のように始まった。真砂子は安心する。一瞬の気の迷いを心から追い出してくれる。射精とはこんなにも頼もしいものだったのか! 真砂子は喜びに腰をがたがた揺るがせた。
義人は、たちまち寝入ってしまった。