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ブスな心が恋してる!貴方がいるから・・・(2)

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立ちたかった!
けれど、純ちゃんは、日本にいられる時間がない事で焦って落ち着けないようだった。
実際に明日、純ちゃんが使える時間はは半日だけだ、どんな短い時間であっても、一
緒にいられる事がふたりは幸せだった。
両親はふたりに気を使い・・・
「今夜は、泊まってくださいね!」
「カコのそばにいてあげてください、お願いします!」
私の両親はいつになく、特に母は強い口調で、純ちゃんにお願いしていた。
私は、やはり、夜になって、39度に熱があがってしまい、意識も途切れがちだった
けれど、純ちゃんは、一睡もせずに、私のそばにいて、私の高熱を下げようと、介抱
してくれている事をおぼろげに感じていた。
私は夢を何度も見ながら・・・
夢の中で、ふたりは、旅をして、楽しく笑いながら、寄り添いながら・・・
そして、私の体は、なぜか、何処か、恐ろしく暗闇の深い谷底へ落ちて行く瞬間に眼
を覚まし、震えながら、涙を流して・・・
そんな時はいつも、そばで、純ちゃんは私の手を握っていてくれた。
次々とみる夢の中で純ちゃんと私は、以前から約束していながら、叶わずにいた海を
見に来ている!
「そしてふたりは手をつなぎ砂浜を元気に走っていたいた!」
今まで一度も海へ行った事がなかったけれど、とても鮮明に浮かぶ、夢の中で!
誰ひとりとして、人の姿がみえない広い砂浜に座り、波静かな海!大海原をたったふ
たりだけでいつまでも眺めていた。

(三十二)
カコは高い熱に意識ももうろうとして定かでない!夢をたくさんみた夢の中で、純ち
ゃんとふたりが砂浜で海を眺めている季節は春なのだろうか?とても明るい陽ざしだ!
太陽が優しく私たちを照らしてくれて、とても気持ちが良くて、でも、私は耐えられ
ないほど陽ざしが眩しくて眼を閉じてしまう!すると、柔らかに細い光は揺らぎながら、私の眼の奥へ、奥へ、そして、私の体のすべてを揺らぐ光で包んでくれていた。
純ちゃんは何処にいるの?、私のそばで声がしてるのに・・・
「カコ、そっちは危ないからダメだよ!」
「向こうへ一緒に走ってみようか!」
と言ってる声の人は純ちゃんのはずなのに、その人の顔が見えない!
気がつくと純ちゃんは私の手を取って、ゆっくりと走ってくれる、まるで、碧い空へ
ふたりで飛んで行くように・・・
私と純ちゃんは、海の波うちぎわに裸足になって立っている!
いつの間にか、私の両足の下の砂は足の周りから音もなく崩れて行く、足の指先から
砂が崩れて行く、少しずつ小さな波が崩して行く!
私はすべて波に包み込まれて体ごと海にのみ込まれてしまうように・・・
そんな怖い夢を何度も繰り返しみて、私はすこし泣いていたのだろうか、純ちゃんは、やさしく私の顔をつめたいタオルで、おでこを冷やしながらも、眼の涙をも拭いてく
れていた。
その冷たさがとても気持ちが良くて、私は又、夢の中へ入って行くようだった。
明け方になって、私は、意識もはっきりとした、どうやら、熱もだいぶ下がったようで、目覚めると、母が笑顔で私に話しかけた。
「すこしは、気分が良くなったかしら!」
「熱は三十六度までさがってるわ~」
もう少し、ゆっくりとおやすみなさいね!そう言って、洗面器やタオルを持って、部
屋を出て行った。
昨日、確かに、純ちゃんがいてくれたのに、どうしたのかしら、姿が見えないけれど、あれはすべて夢の中での事だったのかしら・・・
確かに、私を、抱きしめてくれて、あの頬の冷たさの感触があるのに!
あの感覚は幻だったの・・・
又、母が部屋に入って来た!
「なぜ、純ちゃんは私のそばにいてくれないの?」
どうして母は何も話してくれないのかしら、まるで私に意地悪してるように!、いつ
もの優しい母ではないは、なぜ?!
私はもうこれ以上、我慢できない!
「ママ!純ちゃんは、何処にいるの!」
いきなり、私は、もう長い間、使っていなかった「ママ」と言う呼び方がなぜか出て
きた!

(三十三)
カコが幼かった頃に良く使った、母への一種の甘えたい時の呼び方だったので、母は
びっくりしたように、しばらく、私の顔を見てから・・・
「あなたのそばで、熱が下がるまで!
「朝方まで、ず~と!」
「純輔さんは、貴方の看病をしてくれたのよ!」
「ここに、いられる時間のぎりぎりまでね!」
「すこし、休んで、私が替わるからと、何度も言って、聞かずにね!
「本当に、一睡もせずに、氷水でタオルをゆすぎながら変えてね!」
「あなたの額のタオルを必死で取り替えてくれたのよ!」
「朝方に、あなたが熱が下がってから!」
「カコが落ち着いたことを確かめてから・・・」
「どうか、カコさんをよろしくお願いします!」
まるで、私たち、親よりも、必死になって看病してくださって、ありがたいけれど、
純輔さんも忙しい体で疲れているだろうに・・・
「純輔さんは本当に優しい人ね!」
母は、急に呼び方まで変えて、感激していた、純ちゃんに対しての嬉しさと感謝する
気持ちから、母はすこし、涙ぐんでいたようだった。
「今日、アラスカへ戻りますが!」
「カコさんには、又、時間をつくって、必ず来るからと、伝えてください!」
そう言って、今朝の5時過ぎに純輔さんは出かけたのよ!
私は何処へもぶつけようの無い、寂しさと怒りのような感情が、弱った体で震えなが
ら言った!
「どうして、私を、おこしてくれなかったの!」
「純ちゃんが、帰るからって一言、いってくれれば・・・」
母が困っているのは分かっていた、私の我がままだと言う事も、充分に理解していた!
けれど、心が許せない怒る気持ちになる!
それは、自分自身へ情けない思いと怒りと寂しさで悲しみである事を私が一番良く知
っていた。
ベットで横になっていても、気持ちが暗くなるばかりだった。
しばらくして、耳障りの良い、聞きなれた、音楽!
「サイダーハウス・ルームのメインテーマ」
純ちゃんとふたりで何度となく見た韓国のドラマ「遠い路」に使われていて、私の大
好きな、憧れの俳優「美しき人」が演じている主人公が、とても、純ちゃんの雰囲気
と似ていた。
いつかこんな風な役で主役を演じて見たいと言った、その時の純ちゃんの眼がキラキ
ラと輝いていたのを私は忘れられない!
ふたりの大好きな曲だ!!!
私は病弱な体だから、友人や世間とはつながりが少ない為、あまり使う事のない携帯
電話!
まるで純ちゃんと私との専用の電話のような!ベットの横においてある携帯電話から
あの懐かしい曲が流れた。
「今、僕は成田でございますが!」
「どうでしょうか、姫のお体のお具合は・・・」
「姫がお元気でいてくださらないと僕はとても悲しいです・・・」

(三十四)
純ちゃんのそんなジョークも寂しさを隠しての言葉で、私を元気づけてくれる為の精
一杯の純ちゃんの優しい気づかいが私には辛かった。
私の部屋で、一晩中、私の高熱を下げる為に、冷たい氷水に手をつけて、看病して、
寝ずに又、アラスカへ向かった。
シアトル経由でも、殆ど一日がかりだ!飛行機の中で少しでも、寝られたら良いのだ
けれど、日本から持ち込む、いろんな資料に眼を通さなくてはいけない仕事を山ほど
抱えているのだろう・・・