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ブスな心が恋してる!貴方がいるから・・・(2)

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純ちゃんは、本当に申し訳ないほど良く私に気づかってくれた、やる事の多い忙しい
身で、アラスカ取材へ出発までの日々、今の自分の立場やの仕事を考えると私の事な
ど思う時間さえないはずなのに、わずかの時間をつくっては電話をして来てくれた。
俳優として引き受けた映画の出演をこなし、時にはハリウッドでの体験を雑誌への文
章記事を書きと!本当は寝る時間も無いほどの忙しさだった。
そんな中で、純ちゃんから「カコ、時間が出来た!今から逢えないか?」と連絡を受
けると、それがわずかな時間であっても私は急ぎ出かけて行き、純ちゃんとふたりで
デートを楽しんだ!
たとえ、それが、お茶を飲むだけの時間であっても、今のふたりにはとても大切な時
間であって、幸せなひと時でもあった。
そして、純ちゃんは、アラスカへ旅立って行った。
今度のアラスカの旅は多人数の取材チームであって、取材に使える予算もかなり高額
で満足出来る額を用意された、それだけでも、今の純ちゃんの立場が変わったことを
示していた。
純ちゃんは心の中で、私を気にしながらも、今はこのアラスカの取材企画に気持ちを
集中させての出発だった。
その事が、ふたりの運命の大きな分岐点だとはお互いがまだ知らずに、又、再会を喜び、純ちゃんに逢えると私は信じたかった。
ふたりの運命は神だけが知る、特権を持つものなのだろうか!
その時の私は底知れぬ不安におびえながらも、わずかな期待と、望みを持ち、純ちゃ
んに出来るだけ明るい笑顔で接し成田空港から見送った。
ただ、私だけが、残酷な運命にさらされているのかも知れないと思いながら・・・
純ちゃんは、アラスカについて直ぐに、敬愛する高津さんに、そして伊達さんに会い、取材計画を話して、今度こそ、アラスカ最北の地!
「シシュマレフ」へ行く事を願い出た。
高津さんは、細かな予定は組まずに、自然の成り行きを見届けた行動をする事を進め
てくれた。
まずは、高津さんの写真撮影のカメラクルー達と、同行する事になって、今は6月の
はじめなので、アラスカ南部のグレイシャーベイ国立公園の巨大氷河や海の動物の写
真を撮影する高津さんの姿の取材から始まった。
純ちゃんはアラスカのすべてを撮影したいと思い込むほどの熱の入った、意気込みで、この取材企画は始まった。
何しろ広い、広い、アラスカの大自然の事、セスナ機がタクシー代わりに、目的地に
運んでくれる。
純輔は、一瞬、一瞬が、新鮮で、感動的な体験の連続だった。
あの有名な、ラッコにも出会い!
ザトウクジラが潮を吹き、巨大な体で海面高く飛ぶ姿は、純輔の体のすべての血が逆
流するほどの感激だ!
とにかく、取材チームはみな、我を忘れての興奮した感情を抑えられない!、連日の
高津さんの大自然をカメラで切り取る映像美を追う取材に明け暮れて、興奮状態がつ
づいた。
そして、好天の日と高津さんの見定めた時、巨大な、マッキンリー登山のベースキャ
ンプに、登山隊を尋ねて行き、次々と、マッキンリーの山頂を目指して歩き出す姿を
追いながら・・・
ふと、複雑な感情になって、思い出していた、面識こそ無かったけれど、純輔の少年
の日に読んだ、冒険記を!、この場所から、あの植村直巳さん、山田昇さんが真冬の
ある日、この場所から、一歩踏み出して、そして帰っては来なかった事を思い出した。
次次と姿を現す、このあまりにも美しい!信じがたいほどの緊張感みなぎる風景!山
や切り立った岩峰、そして白銀の世界を眼の前にして、言葉に出来ない感動の連続で
鳥肌が何度も立つほど興奮した感情だった!!!
人はなぜ、山へ向かうのかを少しだけ理解できた気がした。

(二十六)
純輔と取材チームは広大なアラスカの大自然の中で毎日感動の連続、時には大自然の
驚異に出会いながらも取材は大満足してその後の取材も進んでいた。
そしてあの、日本人女性!、たったひとりで豪快に勇敢に、アラスカの大地のひとつ
の生き物として、大自然に溶け込んだ生き方をしている場所へセスナ機が純輔たちを
運んでくれた。
セスナ機が飛びたつのも、着地するのも、湖や川の中がほとんどで、アラスカのセス
ナ機は、水陸両方使えるように、タイヤとスキー板の大きくしたような物が着いている。
その女性は、もう、五十歳は過ぎているだろうか、深い森の中にたった一軒、粗末な
家に住んでいた。
私たちが、訪れる事は、すでに無線で知らせていたようで、セスナ機が河に着水して、ただ、粗く削った丸太を何本か並べただけの粗末な桟橋にはもう、両手を大きく振って、私たちを迎えて、歓迎してくれた。
このアラスカのうす暗く深い森をひとりで切り開いた凄い女性だ!20数年前に、ま
ずは森林伐採の許可をとり、一本、一本、自分で木を切り、一間とキッチンだけの小
屋を建て、そこに住み始めたのだそうだ。
アラスカの森は、普通に街で生活している人間には、想像もつかないほどの過酷な大
自然の驚異がある!六月だというのに、一日のうちに四季があるほどの天候の変化で、現に純輔たちは、何度も天候の急変に脅威を感じた。
彼女は今、五十歳を過ぎていると思うけれど、これまでに、何度も、何度も、命の危
険を感じた事があっただろうかと思う、電話も通じない、ましてや、滅多に人に出会
う事の無い原生林の森の中で、ビックベアーが襲い来る危険やそのほかの獣がたくさ
んいる中で、一瞬の気を許す事も出来ない緊張感が必要だ!
ある時は、夜寝ていて、この家を狼や熊が襲う「がりがり」と爪を立てる音に目覚め
る時の恐怖は、さすがの私も恐怖感と緊張感で、銃持った手や体の震えが止まらなか
ったと笑いながら話してくれた。
大怪我をしても、誰も助けてはくれないので、怪我や病気は自然に治るのを待つしか
なく、ただひとり不安に耐えて、寝ているしかない日々も何度も体験し、あったと、
にこやかに平然と話す、あまりにも毅然とした姿に圧倒されるような気迫さえを感じて、純輔は人の生きるエネルギーの強さがとても美しく感じた。
けれど、この女性、「三島美佐子」さんに、純輔はこの取材旅行の最後に大きな関わり
を持つ大事件あう事になるとは、その時は考えもつかないほど、満足で感動的な時間
だった、それまで純輔の生きた世界で知る人々の中でもっとも刺激的で、魅力ある女
性だった。
純輔たち、アラスカ取材チームは、すこしの時間も惜しむように、高津さんを中心に
追いながら、アラスカ中をセスナ機で飛び回り、次々と、素晴らしい映像を撮影し、
取材して、時間があまりにも早く過ぎて行った。
私、カコは、純ちゃんを成田に送ったその足で、両親にも、誰にも、何も言わずに、
ひとりで病院へ入って行った。
これから、どうすれば良いのか、担当医との今後の治療方法について相談があった。
もう、だいぶ前から、右の胸が痛くて、時には腕を上げるのさえも辛い時があった。
何度も、こんな症状があって、その度に、乳がんの検査をしても、見つけることが出
来なかった、ただ、私は、赤ちゃんを産んだ経験が無いのになぜか、いつも、「慢性の
乳腺炎」だと診断されて、治療の方法がないと言われるのが不思議だった。
「ホルモンバランスがくずれているから、痛いのでしょう!」