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ブスな心が恋してる!貴方がいるから・・・(1)

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私は、今、病気でこんな状態だから、自分からは、どう返事をして良いのか分からな
いのが、不安で真実の気持ちだった。
結婚を夢見る事は、とても幸せな気持ちだけれど、健康で、非のうちどころのない男
性の純ちゃんの妻として、私は、ふさわしい人間ではない事が、誰が見ても分かる事
だった。
私の両親も同じ考えだったから、こちらから、どうすればいい・・・
「結婚」
私はこの言葉を言い出せず、想いだけが深くなり、時間だけ虚しくが過ぎて行った。

(十四)
いくら、口下手な、純ちゃんでも、カコが何の答えも出さずにいる事に心が乱れて、
気持ちの抑えようがなくもう限界だったようで!
「カコ、この前、渡した指輪を返してくれないか!」
「カコは、ぜんぜん、返事してくれないから・・・」
「僕が決めるよ!」
そう言って、病室の窓べに立って、純ちゃんは、大きく深呼吸してから、私が手渡した、指輪を受け取った。
その次の瞬間!、純ちゃんは、いきなり、私の左手を握り!
「薬指に、僕が指輪をはめて上げる!」
「これが、僕の、君への想いだから!」
「僕は、何があっても、カコと結婚する!」
「だから、カコはそのつもりでいて・・・」
「絶対に、この指輪をはずさない事!」
「僕とカコの約束だからね!」
そう言って、私を抱きしめて、そして、頬にキスをして、静かにそっと、ふたりは、
唇を合わせた。
その瞬間、ふたりの真実の愛を確かめあった!
純ちゃんは、私にひとことの言いわけの言葉をする事も許さずに、優しく、抱きしめ
たままで・・・
「もう、何も心配せずに、僕に任せてくれるね!」
「これからはいつも、一緒にいよう!」
「辛い時も、君の痛さを受け止めてあげるから・・・」
「苦しい時、悲しい時、我慢せずに、僕の胸で泣いていいんだよ!」
「そして、僕を、支えてくれればいい!」
抱きしめてくれる、純ちゃんの美しく鍛え挙げた厚い胸の力強さ、すこし痩せたのか、ふと、見てしまった、隆起した太い喉仏がまれに見る男性の肉体の美!今の私には、
眩しくて、少し苦しかったけれど、何か不思議な力が、私の体に伝わって来たように、何もかも忘れられた、幸せと喜びに涙があふれて止められない、純ちゃんに気づかれ
ないようにうつむきながら、すこし、恥ずかしい想いと女としての喜びを感じて・・・
私のみじかい生涯の中で一番幸福で、心が喜びにあふれて、今、見えている世界が美
しくて、虹を描くように、こんなにも素晴らしく素敵に感動出来る瞬間があった、あ
の時間を忘れる事が出来ない!
私の感情と体と血潮は燃えるように熱い流れを感じた。
純ちゃんの行為は、私に強引なまでのプロポーズをしてくれる情熱!
どんな病でも純ちゃんの熱情とエネルギーによって、退散せざるを得ず、あの日、純
ちゃんから受けた不思議な力は、しばらくして、私の体調はどんどん快復して病院を
退院する事が出来た!!!
それはまるで、純ちゃんからのエネルギーが私の体に注入されたように、不思議なほ
ど元気に、心も体も健康になったと実感出来る、そう感じる事でした。
あんなに、体じゅうが重くて、痛くて、鉛が私の全身を覆い尽していたように、なん
の感覚も無い、もう、これ以上は吐き出す物がないと思うほどの苦痛や疼きと全身を
這い歩く痒みが不快感で気が狂いそうなほどの辛さが無い!
「やはり純ちゃんは、私の守護天使なのでしょうか~」

(十五)
そう思えるほど、私「杉本夏湖」には心にも体にもたくさんの奇跡を与えてくれる特
別で素敵な人なのです。
私を守ってくれる守護天使の名前は『李 純輔(イ・ジュンホ)』
けれど、直ぐには、結婚出来るほど、今の私にはたやすい事ではなかった。
純ちゃんは、男一生をかけられる仕事として俳優を選んだ、だから、その為の大きな
目標である、ハリウッド映画出演の為の書類審査が通り、ロサンゼルスで、一次,二次、の、オーデションがあり、アメリカへ行く予定が近づいていた、その為の滞在期間が、果たしてどの位になるのかが、はっきりしていなかった。
もちろん、純ちゃんは、海外で仕事をする為の契約している選任のマネージャがいる
わけではなく、アメリカでの予定はすべて、純輔自身が進めていく事になる。
日本での仕事であれば、契約しているプロダクションがあるけれど、友人の俳優が、
社長兼俳優という、小さな事務所だから、もちろん、ハリウッドへの挑戦は、賛成は
してくれていても、現実に、純ちゃんの手助けを出来るほどの組織ではなかったし、
経済的にも、事務所がすべて応援できるほどの良い経営状態ではない事が、純ちゃん
自身が良くわかっていた。
純ちゃんが、所属している事務所の社長は、純ちゃんが新人の時に、出演した映画
『美しき人の海』で演じた、「純朴な田舎の青年」小さな役だったが、俳優としての
才能にほれ込んでいた。
純ちゃんが所属している事務所の社長は、少しだけ、俳優としてのデビューが早く出
来た友人の「佐木優作」が立ち上げた事務所で、純ちゃんを支援してくれている、男
気のある豪快な人だった!
もう十年以上も前の事だけれど、純ちゃんが俳優としてデビューしても直ぐに多くの
仕事があったわけではなかった。
経済的に難しい時でも、純ちゃんの才能を認めてくれていたので、よほどの事が無け
れば、アルバイトをせずに、俳優としての準備をするようにと言って、最低限の生活
の保障をしてくれた事で、贅沢は出来なかったけれど、つつましい生活の中で、たく
さんの演劇や芸術の本を買い、読んでいた。
時には、アパートの大家さんが、冗談のように言ってた!
「全く、この部屋は、本の重みで、かたむいちゃうよ!」
「早く、引越しするか!」
「純輔クンが大スターになって、このボロアパートを買い取ってくれなきゃね!」
「それを、楽しみに待ってるんだから!」
「この家を大豪邸に建て替えておくれよ!」
気さくで、粋な、大家さんのいつもの口癖だったそうだ!
私と出会ってからは、所沢の小さなマンションに越して来ても、とても、寂しいと言
いながら、「応援してるよ!」、見守ってるから、頑張るんだよと、何度も言って、名
残惜しそうだったと聞いている。
純ちゃんは、自分の家族の事や故郷の事をなぜか、あまり話そうとしなかった、けれど、その心の中では寂しさを隠しているようで、カコは気になっていた。
だから、私の両親は、少しでも、純ちゃんの寂しさがまぎれるのであれば、親代わり
になりたいと、言葉には出さなかったけれど、私の両親は気づかっていた。
ただ、時々、極まれに、実家があると聞いている、住所から、心温まる贈り物が届い
ていた。
私はまだ、一度も、ご両親に会わせてはもらえなかった、けれど、あえて、純ちゃん
は言葉にして、私に説明があったわけではない!、私は純ちゃんがご両親の事を自分
から話してくれる時期が来るだろうと思っている。
今は、純ちゃんの愛を信じて、私はすべてをゆだねたいけれど・・・

(十六)
私自身が、純ちゃんと結婚出来る人間ではないと心の中で、いつも、思っていた事だ
から、純ちゃんのご両親やご家族に会えなくて、当然なのだと思っていた。