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ブスな心が恋してる!貴方がいるから・・・(1)

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これから、少しずつ、一緒に考えたり、覚えたりして行けるんだからね!!!
僕が少しだけ、早く生まれて、ちょっとだけしなくてもいい苦労したからさ~
「しなくてもいい?苦労をした?」
純ちゃんの事、何でも知ってるつもりになっていたけれど、又しても、はじめて聴く
事だった。
純ちゃんは、俳優としての仕事の時の集中力は素晴らしいと私は思う、たぶん、並外
れた気力と集中力は他の俳優の誰にも負けてはいないと私はいつも感動している。
けれど、時には、少年のような、あどけなさを持ち合わせていて、誰にも注目されて
いない時など、自然体で、素の純ちゃんは、何処か、不思議なほど、落ち着きの無い
仕草をしている時がある、その姿は、たぶん、純ちゃんの心がどこか異次元の世界を
一瞬に旅をしているのかも知れない。
ふと、私は、そんな事を思ってしまう、不思議人!
『李 純輔(イ・ジュンホ)』と言う、素敵な人だ!
たった今、純ちゃんは、どこを旅したのかしら、心の旅を・・・
何も無い空間をみつめて、物思いながら、頬に美しい手を添えている、その姿が、私
は大好き!
そして私は世界一幸せな女性だと、勝手に思っていた!
すぐそこに、悪魔が潜んでいた事も知らず・・・
私、カコは、今年の夏頃から、体調が悪くて入院したけれど、もうひと月が過ぎても、いっこうに快復しない、私の病気は、子供の頃から、原因が分からないけれど、ある
とき、極端に免疫力が低下する、主に初夏の頃に起きる事が多かった。
体全身の働きが悪くなる、アレルギー性の痒みがひどくなり、風邪を引きやすくなり、又、よく熱を出しては中々下がらない、胃や腸の働きが悪くて、胃もたれや不快感に
悩まされる、食欲無くなり、食べられない為に、体力が無くて、結局は病院に入院して、
点滴をする事になる、何度も、この繰り返しで、私は三十五年生きて来た人生だった。
けれど、純ちゃんと奇跡的に出会って、恋をして、私はこの五年間はほとんど、入院
せずにいられた、確かに、体調の悪い時もあったけれど、不思議なほど、直ぐに元気
になり、父の営む、印刷工場の事務を手伝いながら、純ちゃんの誘いで、俳優と言う
のには気恥ずかしいけれど、何度か、映画に出演した。
けれど、私の名前は、誰も気づいてくれるような場所にはなく、いつも、その他大勢
の中に、小さく載っている、そんな位置だったけれど、私は本当には、特別に幸せな
五年間の日々だった。

(八)
仕事のない日は、純ちゃんと、ドライブをしたり、又、時には、自転車ロードを風を
切って走る事もあった。
私は、生まれてから、ずーと、埼玉県の飯能に住んでいた、だから、純ちゃんも、所
沢に越して来てくれた。
そのほうが、ふたりのデートには、都合がよかったし、仕事にも、さほど、不便さを
感じなくて暮せていた。
時には、純ちゃんは、脇役であっても、とても重要な役を演じたり、又、地方への長
期のロケがある映画にも出たりと、純ちゃんは、派手なスターと言われる、俳優では
なかったが、仕事は切れ目なく、続けられる幸運さがある人だ!
それは、紛れも無く、純ちゃんの日々の努力のたまものであった。
時には、ストイックなまでに、役柄を研究して、役柄の人物になりきる努力、そして、その人物に徹底して、感情移入できる集中力は本当に凄いものだと、私はいつも感動
して観ていた。
私は、そんな純ちゃんの努力し、研鑽する姿を見ていると、自分の甘さや我がままで、努力の足りなさを痛切に感じながらも、自分では、どうする事も出来ない事がはがゆ
い思いと、才能の違いを見る思いで、やはり、落ち込んだりもするが、ある部分で、
純ちゃんのそばにいられて、素晴らしい才能の輝きを観ていられる事に感謝せずには
いられない思いになった。
私が入院して、ひと月が過ぎ、九月の大型連休、「シルバーウイーク」も過ぎた、ある日、純ちゃんは、私に何か言いたげなそぶりをするけれど、落ち着かない仕草をしては・・・
「カコ、病院暮らしは、辛いよね!」
「カコは、偉いよね、毎日、毎日、点滴に繋がれての生活だもの・・・」
「カコ、あのね!カコ!ちょっとね!」
そう言ったまましばらく黙ってから、今から、仕事だから行くね・・・
なんとも、気になる、純ちゃんの様子!、同じような事が二~三度繰り返しあって・・・
「カコ、いつ頃、退院出来るのかな~」
「一緒には無理でも・・・」
私は、純ちゃんが、何か、いけない事!、私に対しての裏切り!、何をしたのかしらと、邪推した!

(九)
純ちゃんは、至極健康で、誰が見ても、私のようなブス女を恋人にしていては、不平、不満や、やっかみごころを抱いても当然だと思う!
純ちゃんはとても素敵な男性で!あの美しく微笑む姿は嫌味のないセクシーさに魅せ
られてしまう女性が多く、黙っているわけも無く、きっとほおってはおかないだろうし、
誘惑も多いはず!
私は、いやな醜い、ジィラシーが、どんどん、悪い方向に膨らんで行く事の自分の心
のいやしさに耐えられずに、気分が悪くなって来た。
純ちゃんは、何か言い出しにくそうに、落ち着かないそぶりが、よけいに、私をブス
女にして、私は、勝手な思い込みをしている。
「純ちゃんの裏切りだと決め付けて、ベットで寝たふりをして、純ちゃんに背中を向
けて、すねていた!」
しばらく、純ちゃんは黙ったままだったが!
「カコ、こっちを向いて!」
「カコに大事な話をしたいから・・・」
「僕さ、ちょっと、言い難くて、ちょっと恥ずかしいけど!」
「しばらく、旅に出ようと・・・」
「だから、カコ、ちゃんと聴いてくれる!」
私は、益々、不機嫌になり、純ちゃんの顔を見たくないと思った。
たった数分の沈黙でも重苦しい、とても長く感じた時が過ぎ頃、純ちゃんは、そっと、私に触れて、優しく、私を、自分のいる方へ体のむきを変えてくれて・・・
「ゴメンね、驚かせて!」
「今度、仕事で、ひと月ほど、アラスカに行く事になったよ!」
「カコは気に添わぬだろうけど、僕はとてもやってみたい仕事なんだ!」
「ある、写真家の、生き方や考え方を追いながら、私なりの彼の魅力を紹介する、ド
キュメンタリー番組の企画で、私も企画者のひとりなのだよ!」
「長く、アラスカ大自然に惹かれて、アラスカに住んでいる日本人でね!」
「アラスカの原住民と生活を共にしながら、動物の写真を撮影しているけれど!」
「アラスカの大自然を純粋に愛している人で、私はその人を、とても尊敬して
いる!」
「だから、どうしても、会ってみたい人なんだよ!!!」
私の知らない純ちゃんの優れた人間性を見た気がして、とても嬉しかった、改めて、
まだ、まだ、私の気づかなかった素敵な純ちゃんが、今、私の目の前で、あの素敵オ
ーラの渦が虹色に輝いていた。
そして、私の体をそっと抱き起こして、私の両手をとり、指輪と薔薇の小さな花束を
手渡して・・・
「ぼくが、アラスカから帰る時までに、考えてほしい!」
「こんな僕でよかったら、結婚してほしい!」
「僕は、たぶん、大スターと言われるような俳優には成れないと思うけれど!」
「カコ、君が、居てくれたら、俳優という仕事を、一生努力して、やって行けそうだよ!」