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【黒歴史】 全速力で走る霊 【2002年(18歳)】

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20. 泣きそうだ、クソ

常松智司が警察に引き渡されてくのを見届けると、
急速に俺の情熱は醒めた。
クソみたいなこの世界の何かを壊したい、という衝動は、
常松と言うクソをぶっ壊した事で満たされたのか。
とにかく、もう何もする気にならなかった。
これから俺も、警察署で事情聴取を受けないといけない。
つうかその前に病院に行かないと。
さっき刺された右足は使い物にならない。
まだ生きているのが、不思議で堪らない。
あんなに嫌悪していた『生』を今俺は死にかけて実感している。
皮肉な気がした。
「相島君!!」
その時、救急車に乗ろうとした俺は、
一番聞きたかった声を聞いた。
「新田さん!!」
救護員が、新田さんに救急車に一緒に乗るように指示した。
「沢村君が、一命は取り留めたって。
頑張ったんだよ。
だから・・・ねぇ・・・
相島君も死なないでよ・・・」
新田さんは泣きそうになっていた。
というか、実際泣いていた。
俺も、泣きそうになっていた。
担架の中で、彼女の顔を見ながら、
俺はいつまでも『生』を噛み締めていたかった。