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【黒歴史】 全速力で走る霊 【2002年(18歳)】

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16. エロ

「新田さん・・・俺・・・もう・・・駄目だ」
「落ち着いてよ。沢村君のことは相島君に責任は
全く無いよ」
「違うんだ。俺のせいだ。
俺のようなクズはこの先も生きてたら、
更に多くの人間に迷惑をかけます」
「自殺する気・・・?」
「新田さん、俺、エロだよ」
「・・・別にいいじゃん・・・」
「俺もさ・・・同じなんだよ・・常松と!!」
「・・・あたしの方が・・・どうしようもないです・・・」
その時俺は初めて、新田さんが、弱音を吐く所を見た。
「あたし、身体を売りました。お金が欲しくて・・・
お金が無いと、この世界では生きていけない。
あたしの家、親が居ないのね。
お母さんが死んで、お父さん蒸発しちゃって・・・
強くないと、この世界では生きていけない。
汚いこともしないと、強くなれない。
あたし、弟や妹を養うために、身体を売りました。
どうしようもなかったんです・・・」
「どうでもいいよ・・・。俺に優しくしてくれたのは、
嘘じゃないんだろう?」
「・・・カート・コバーンって知ってる?」
「誰?」
「ニルヴァーナっていうロックバンドのボーカル。
あたしの知ってる、一番ネガティヴな人。
最後、自殺しました。でね・・・カートの奥さんが、
コートニー・コバーンって言って・・・
二人はいつも口が悪いんだけど、そこには『愛』が
あるの。カートが自殺した時、ニルヴァーナのファンが
一斉に集まったのね。それで、コートニーはこう言ったの。
みんな、このバカ野郎の真似しちゃあだめよって。
自分はぐしゃぐしゃに泣きながら・・・」
「あ、椎名林檎の歌詞のやつか・・・。
『カートみたいだから私がコートニーじゃない』って」
新田さんの声も、ようやく搾り出している感じがする。
「ねぇ、愛なんて言葉の中には無いの、たぶん」
「そうなのかな・・・」
「難しく考えすぎだよ。いいから、あたしを抱いて」
今にも泣きそうな新田さんに唇を合わせる。
俺のより、ずっと、ずっと細い腰に手を廻す。
どんな事をやっていても、どんな事をしていても、
彼女の身体は何よりも、華奢な、女の子だった。
「ダメだ!」
彼女の身体をすっと離す。
「新田さんは優しすぎるよ。
駄目なんだ・・・
誰かに、優しくされると、バカな俺は
すぐにその優しさが恒久的な物だと勘違いしてしまう。