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【黒歴史】 全速力で走る霊 【2002年(18歳)】

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水が手から抜けるようにピシャッ、と生暖かい液体が
顔から胸にかけて飛び散った。

「うわああ!!!!」

顔をゆっくりと、拭う。真っ赤に染まった掌が、
街灯の白色光をてかてかと微かに拾い上げて、
今地獄から現れ立ての違う生き物のように
ぎらついていた。

「お、俺は悪くねぇぞ。正当防衛だからな・・・
お前、気違いなんだろ・・・?なあ・・・
何か言えよおおお!!!」

常松智司はその場から脱兎の如く逃走した。
沢村の体からは破損したビニール風船のように
力が抜けていっていた。

僕・・・死ぬのかな・・・?
相島沖史・・・。

消えかかる意識の中、誰かが立ちはだかった。
沢村現が、虚ろな、ぼんやりとした視界の中で、
最後に見たものは、汚らしい中年のホームレスの
姿だった。