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【黒歴史】 全速力で走る霊 【2002年(18歳)】

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2. 沢村現

「はあーあ」
間もなく夏に入り始める。6月の匂いがそこらに漂う。
「何サボってんすかー、体育」
ある日、いつものように教室で体育をサボり、人生をサボり、
校舎の4階の窓際、前から2番目。
この町内の風景が望めるファーストクラス窓際の席から
世界の退屈を眺めていると一人の男子学生が俺に
話しかけてきた。高くない身長、これと言って特徴の無い顔。
皺一つ無いYシャツ、絵に描いたような平凡な高校生だ。
そいつは睫毛まで伸びた前髪をふうっと揺らしてこう言った。
「それとも話しかけたら、迷惑かな?」
迷惑だ。酢豚の中のパイナップルぐらい迷惑だ。
だから『迷惑』を顔で表現しておいて、
とりあえず無視するが、こいつは俺の
疎ましそうな顔を視界に収めていないのか、
いや、明らかに収めているが無視をして話し続けてきた。
「いちねんかんにぃー、自殺で死ぬ人は3万人います」
話題が急に飛んだ。例えるなら福岡から稚内くらい。
「あなた、3万分の一になりますか?」
・・・訳が解らない。藪から棒にも程がある。
「訳解んねぇよ。つまり何?俺が自殺するって事?」
「あなたあぶないですよー今にも死にそうな顔です。
コンビニ行くのと同じ感覚で自殺しそうですよ。
パジャマでも平気で自殺しそうです」
「しねぇっつうの」
「断言しますか?」
そう言われて、急に、体の背後で風が吹きぬけたような
感じがした。冷や汗とでも取れるやわらかな衝撃。
取り敢えず俺は反駁した。自殺なんかしないと。
しかし本当に俺は自殺しないのか?
取り立てて死に執着している訳でもないが、
生に固執している訳でもない。
ん?待てよ。観点を摩り替えていた。
「違う違う。少なくともパジャマではしねぇって事」
「はああ。では遺書とかを膝の上に、死装束を纏って・・・それは違うと思うな。実際に、衝動的な
側面の全く無い自殺なんて、世の中にそんなには
無いんだ」
この男子生徒は何時の間にか会話のイニシアチブを
取っていた。
「人間ってのは、誰しも、未来を創造しながら生きてる。
大抵の人間はいつだって、明日とか、はたまた5分後とか
短距離の未来だけど、ビジョンを漠然と抱いているんだ。
そして、その人生の一つの選択肢として、
真剣に自殺を考えた事は?」
「さあ・・・でもこの環境と現状が維持されていれば、